「プレゼンにもし負けたら、私が慰めてあげる。…そしたら今度こそ、勝てるよね?」
「もちろん!!」
コクッてサラサラの黒髪を揺らして背中の私を振り返った。
「どうやって慰めてくれるんすか?」
物凄い期待の目で見られて顔を隠す。
そんなのズルい!
「チューとかしてくれるんですかねぇ?いやチュー以外ないっすよねぇ?慰める、って!!」
ニヤついてるんだろう日高くん。
私の手をギュウギュウ握ってちょっと楽しんでる。
「チューだけでいいの?」
だから言ってやったんだ、耳元で。
日高くんのうなじスレスレに唇を掠めるように耳元で。
「ゆき乃さん。そろそろ顔が見たい。」
無言で私の手を解いてくるりと反転させると、そのまま私の頬に手を添えて、迷うことなく顔を寄せた。
自分からしてんじゃん!…なんて思ったけど、ここまできたらもう素直になるしかないって、日高くんに合わせて私も目を閉じた。
ンチュって小さく重なる唇に心拍数が急上昇しているのが分かる。
恋人の条件として、キスの相性が合うか合わないかは私の中でわりと重要で。
唇をハムって甘噛みしながらほんのり舌を入れこむ日高くんのキスは、たまらなく心地が良いなんて。
日高くんの胸元に置いておいた腕を、そのまま肩を撫でて首の後ろで交差する。
私達の身体の距離がゼロセンチにして、また唇を重ねた―――
「…ヤバいこれ以上危険だ。」
そんな言葉を残して離れていく日高くんの表情は完全にトロンとしていて。
「愛してます、ゆき乃さん。」
好きを飛び越えて愛をくれる日高くんにクスリと笑った。
なにが可笑しいの?って顔で大きな目を瞬きさせていて。
「…日高くんがいなきゃ、生きていけない身体にした責任はとるってことよね?」
「もちろん!」
「じゃあその身体で証明して、愛してるって。」
「はいっ!!」
手を繋いで屋上を後にした私達の頭上を、東京では珍しい流れ星が見守っていた。
*END*