絶対の絶対に、日高くんの企画が通ったって思ってた。
だけど、社会には時として、どんなに頑張っても届かないことも、沢山ある。
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「日高!残念だったな。でも仕方ない、青山が相手は悪すぎた。俺はお前の企画、いいと思ってるから!」
そんな励まし、余計に虚しいんじゃないかと思うけど、それでも笑顔を向ける日高くんの背中はやっぱり悔しそう。
なんて、声かけたらいいのか分からない。
そうこうしているうちに、フロア内はまた日高くんを残して誰もいなくなった――――私以外は。
つい数日前みたいに私がご飯に誘う?
そもそも、勝たなきゃデートの約束は無効だ。
何もしないでただオフィスの窓から外を見下ろす日高くん、やっぱり落ち込んでるよね?
カタンと音を立てると振り返った日高くんが私に気づいた。
「まだ帰ってないんすか?ゆき乃さん。」
「もう、帰るわよ。」
「そっか。お疲れ様でした。今日はかっこ悪いとこ見せちゃってすいませんでした。…勝てると思ったんだけどなぁ俺!…悔しいなぁ…」
泣いてる?
そんな訳ないか。
小さく息を吐き出すと、私は日高くんの腕を取った。
「付き合って!」
「へ?」
「いいから。」
グイッと引っ張ってフロアを抜けるとそのまま階段を上がってビルの屋上に出た。
本当は出入り禁止なんだけど、私は時々、この荒んだ都会の息苦しさから解放されたくてここに来ていたんだ。
「出入り禁止ですよね?」
「そうだった?」
「書いてありましたけど、けどここ、ヤバいっすね。夜景がめちゃくちゃ綺麗じゃん!」
風にあたって見下ろすそこは、荒んだ東京の夜景が広がっている。
ビルだらけの東京でも、夜の闇に包まれるとネオンが綺麗に輝いて見える。
「デート、ダメっすよね?」
柵に捕まって振り返ることなくそう言う日高くん。
一歩、また一歩近づいて、そっとその背中に触れてギュッと抱きついた。
「…その優しさは愛になってます?」
ちょっとだけ困惑した日高くんの声。
いつも頑張ってる彼の珍しく小さな声にコクリと頷いた。
「ほん、とに?」
キュっと日高くんが後ろから回している私の腕に手を握ったからトクンと胸が脈打つ。