ホテル-Happiness-株式会社。
入社して数年。
仕事はそれなりに忙しい。
先月の決算では1週間程残業が続いて身も心も疲れきっていた。
心の拠り所でもあればもう少し気持ち的に楽だったのかな?って思うけど、恋に恋するお年頃でもなくて、ホッとする瞬間を共有できる人でもいたらいいなって思うことはある最近。
どちらかと言えば昔から他人の恋愛相談にのる方が多くて、自分の事となると散々言ってきた意見さえも分からなくなったりする。
恋愛に疎いんだよね、きっと。
だからって、恋したくないなんて事はなくって…
友達の恋話にはいつもほんわかしちゃうんだ。
あぁ、あんな関係いいな…って。
「はいお土産」
スッと手渡されたのはお菓子。
同期の美桜ちゃんの彼氏は陸くん。
誰にでも優しい所が美桜ちゃん的にはちょっとヤキモキしちゃうみたいだけど、陸くんは他人に優しくて自分に厳しい人だから、あたしから見たら文句の付け所がないと思うんだけどな〜。
何より美桜ちゃんのこと本当に大事にしているって分かるから。
「旅行行ったの?」
「うんまぁ近場というか、陸の実家に…」
ちょっと恥ずかしそうにそう言う美桜ちゃん。
その仕草は女のあたしから見ても可愛くて。
え、まさかの…???
「結婚?」
憧れの一言を言ってみた。
「いや、まだだけど!でも挨拶はしたんだ」
一言一言嬉しそうに笑う美桜ちゃん。
やっぱり思ってしまう、いいな―って。
「そっか!でも結婚するんでしょ?」
「まぁ、いずれはしたいよねぇ〜」
こうやって友達と恋話してる時がすごい楽しいって思っちゃうあたし、変なのかなぁ?
人の幸せって他人をも幸せに出来るもんだってあたしはそう思うんだ。
始業のチャイムが鳴ってあたし達は慌てて自分の部署に戻った。
「黎弥くん、これ置いておくねー!」
同じ部署の黎弥くん。
仕事の面においてもすっごく頼りになる人でみんなからの人望もあつい。
あたし達経理課には必要不可欠の人なんだ。
独身の黎弥くんは女子からも人気があって…
でもどうやら特定の彼女はいないみたい。
「あー悪い悪い!助かるわ!莉子に任せると完璧だから本当頼りになる!」
ニコって笑うその笑顔にあたしは笑い返した。