恋愛に痛手はつきもの3


人懐っこいのもそうだけど、黎弥くんのあったかい雰囲気が大好きなあたし。

きっとね、黎弥くんの彼女になる人は幸せなんだろうなぁって思っちゃうほどに。


「こちら、現場のゆき乃です!ただ今瀬口が又、莉子さんに色目を使いました、どうぞ!」


口元に手の拳でマイクを作って黎弥くんの隣、パパラッチ的な現場のレポーターの真似っこをしている後輩のゆき乃ちゃん。

黎弥くんとも仲良しでいつもめちゃくちゃ元気の良い子。

そんなゆき乃ちゃんをさもうっとおしいって顔で黎弥くんが腕を上下に振って追っ払う真似をする。


「現場の北人さん聞こえてますか??何と瀬口がわたくしゆき乃を跳ね除けてしまおうと懸命に腕を払った模様…何というゴリラなんでしょうか?!」


黎弥くんの態度なんて全く気にせずにそのままコントを続けるゆき乃ちゃん達が可笑しくってあたしは「ブ――」って吹き出した。


「おお、これがゴリラの進化系…妖怪人間ゴリ口黎弥の正体か!ゆき乃気をつけろ、いつ襲われるか分かんねぇぞ」

「襲うか、ボケ!!」


ナイス突っ込みバリに黎弥くんの鉄拳がゆき乃ちゃんと一緒にコントを披露してくれている北人くんに落ちた。

ゆき乃ちゃんとナイスコンビで本当に仲がよくて、ちょっと羨ましくも思う。


「本当仲いいね」

「そう思うでしょ?俺すげー迷惑してる。いい加減にしろよお前等!竜太、早く連れてってくれ」


呆れた声でそう言うと、黒スーツの日高くんが軽快に走ってきた。

努力家で有名な日高くんは紳士で、いっつもふざけるゆき乃ちゃんと北人くんのお守り役だった。


「北人、行くぞ」


ゆき乃ちゃんに耳元で何かを囁く日高くん。

真っ赤になったゆき乃ちゃんは借りてきた猫みたいにおとなしくなって、素直に日高くんに連れて行かれた。

今の一瞬で一体何が起こったんだろう??


「ねぇ、黎弥くん!日高くんとゆき乃ちゃんって…」


言いたいことはもうここまで言えば通じるだろうって、敢えてあたしはその後を濁した。

ほんの一瞬目を細めてゆき乃ちゃんを見た黎弥くんは、すぐに視線をあたしに戻してニッコリ笑った。


「それはないよ」


そう言った黎弥くんの声は少しだけ、ほんの少しだけ切なく感じた。

その表情もいつもより切なく見えて。

この時あたしは黎弥くんには笑っていて欲しいって思わずにはいられなかったんだ。