ホテル-Happiness-株式会社。
その中にある“カフェ;はぴねす”
大学の側にあるホテルでそこの内部にある社員さん専用のカフェでバイトを始めたあたし、香澄。
大学進学をきっかけに地方から東京に出てきて早二年、とりあえずお金稼がなきゃ…って割りのいいバイトを探していたあたしは、ここに運命の人がいるなんて思いもしなかった。
とにかくお洒落なこの会社は、中で働く社員さんもお洒落な人が多くて、男性も女性もあたし達学生から見たら憧れるようなものがあった。
軽食とスイーツと豆から挽いたコーヒーと茶っ葉からとった紅茶と…
社内カフェにしてはその量はふんだんで、沢山の人が毎日訪れている。
バイトを始めてから約、二年。
あたしもようやく色んな仕事を任されるようになっていた。
夏休みに入ると大学の友達は毎週のようにコンパやクラブに行って遊びほうけているけど、あたしはこのカフェ;はぴねすが気に入っているんだ。
「ねぇねぇ、店員さん…こっちとこっちどっちが美味しいと思う?」
「え?」
大体午前中は暇で人も少ないけど、この人毎日のように来てるんだよな〜…。
なんてボケっとしていたら、当の本人から話しかけられて素っ頓狂な声を出してしまった。
首からかけている社員証には“堀夏喜”って書かれていて、イケメンなのにめっちゃガンつけてる顔写真がついていた。
「あ、すいません…えっと…」
「これとこれ、店員さんちゃんと食べた?」
「すいません、じつは…」
苦笑いをするあたしにニッコリ笑顔を返してくれた堀さん。
見た感じ若めで、ちょっとトゲトゲした無愛想な雰囲気を出している。
「じゃあ仕方ないか、二つ買ってくわ。一個はハニーにあげようかな…」
「すいませんっ、あたし今日買って食べます。働いてるのに知らないなんて失礼ですよね、本当にごめんなさいっ!」
深々と頭を下げるあたしに「いいって」って、優しい声が響いた。
「あいつにあげるきっかけになるし!」
一見強面に見えるも、堀さんはふんわり笑って結局甘いスイーツ菓子を二つ買って行ってくれた。
まさか自分が話しかけられるなんて思っていなかったから、正直あたしは吃驚していて…
何だか胸が高鳴っていた。
社員さんとまともに話しをするのは初めてで、あたしはここの社員さんに憧れていたから。