ホテル-Happiness-株式会社。
営業部署に配属されてはや数年。
一応それなりに仕事をこなしているものの、最近システムの変更やら何やらで、色々面倒なことが多かった。
その一つとして、領収書の精算やらの伝票を作成して貰う所にいた韓流好きのおばちゃんが定年を迎えて辞めた。
若い子と話すよりどっちかっていうとおばちゃんと話す方がすんなり仲良くなれる俺は、まぁ言うなれば極度の人見知りだった。
加えて昔から態度が悪いからか、女性の方からも近寄りがたいオーラを放出してる、なんて言われてあまり相手にされない。
そこそこ悪くないはずなんだけど、何故かモテなかった。
周りにいるのが、喋りのうまい奴らばっかのせいか、そいつ等の方に女性は寄っていくなんて変化が起こっていたんだった。
「篤志さ〜ん、経理課からお電話入ってますよ!」
派遣のエビちゃん似の可愛い子にそう言われて浮かれ気味で内線を取った。
『S経理ですけどお疲れさまです。佐藤さん今月分の領収書ってまだ残ってたりします?』
電話をとった瞬間、うわ――って顔をしかめた。
この人、仕事が出来るんだろうけど、いっつもいっつも厳しい!
前のおばちゃんとは仲良しだったから、よく世間話で長電話してたけど、今に至ってこの人と話すこと…何もない!
「すいません、ちょっと確認してみないと…」
『そうですか、じゃあ申し訳ないのですが本日12時までにメール頂ければ処理致しますので、ご確認お願いしますね』
「分かりました」
チーン。
「はぁ…俺怒られんのかな…」
何でか分からないけど、この人はいつも怒っているような喋り方でどうしてか怒られている気分になる。
「だ〜〜〜〜!」
「何すか?篤志さん…」
抹茶マフィンを加えた直人がフロアを徘徊していて、俺の唸りに声をかけてきた。
俺はとりあえず直人の問いを無視して、デスクの上に散乱していた伝票をあさりまくる。
普段は几帳面だから綺麗にしてるけど、月末月初の請求時期はいつも伝票で溢れかえってしまうわけで。