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領収書精算しないと、全部自腹切ることになんだよなぁ!

そんなことあってたまるかってなぁ!!

って思うのに、領収書が中々見つからない…


夕方になってやっと見つけ出した領収書をどうしようか迷っている。

持って行くのは構わないんだけど…

おばちゃんの時ならうまいこと言って何とか承認して貰ったけど、あの人に代わってからは一切期限厳守だかならなぁ…。

でもこれ痛いなぁ〜…

タク代二万って…でけぇだろ!


「コーヒー飲む?」


不意に背後から声がして振り返ると、良平のゆき乃がいて。

ニコニコしながらコーヒー豆を振っている。


「おー、頼むわ」

「はーい。…何か珍しく難しい顔してたけど…」

「まぁな…珍しくな…って、のせんなっ、本気で忙しいんだよっ!」

「ふーん。それって自腹切ることになる領収書なんじゃないの?」


えっ…?

デスクに戻した顔を再びゆき乃に向けると、俺の手元にある二万円相当の領収書をジッと見ていた。


「そうだけど、何で知ってんの?」

「だってそれ汐莉が承認するやつだよね?」


意味不明な言葉を発した。

キョトンとした俺を覗き込むように見ているゆき乃は「汐莉じゃないの?」そう続けて。


「汐莉って誰?」


当たり前の返答を返す。

ちょっと呆れた顔のまま給湯室へ行ってしまうゆき乃。

すぐに戻ってきて、「はい」ってコーヒーを俺のデスクに置いた。


「どうも」

「S経理課の篤志の担当さんのこと」


何ともあっぱれな答えだった。

そもそもうちの経理課は更に中で部署が別れていて。

ゆき乃や美桜や莉子も又、経理課の中で違う場所に配属さている。

その中でも雲の上の存在、言っちゃえば“高嶺の花”ってよく言われてるのが、俺の伝票を承認するS(スーパー)経理と呼ばれる部署だった。

そこは社内でも最上階に位置する場所にあって、本当に仕事の出来るトップクラスの奴らがPCと睨めっこしてるような所だと、俺は思っている。


そんな上流階級の輩と、この下流にいるゆき乃が何故に知り合いなんだ?

そんな疑問の顔でゆき乃を見上げると、ニカって笑った。


「あたし親戚なんだぁ!この前初めて知ったんだけど吃驚しちゃって。家が近いからわりとよく会ってたりもしてさ、先週もルーキーズ一緒に見に行ってお茶してたら、篤志の話が出てきたから」