運命の相手1


美人は三日で飽きるけど、ブスは三日で慣れる…


ゆえに、美男も三日で飽きる…というか、顔のいい男程、付き合ってみても面白みもなく、無駄なすれ違い程度であっけなく終わりを告げる。

だからって不細工と肩を並べて歩くなんて御免だ。

どーせならきっとどこかにいるんだと信じて、顔のいい面白い男を捕まえてやろうじゃないかって、そう思って私は今を生きている―――――


そしてそんな事を思っているなんて、この会社には誰一人知る奴はいない。



定時間際、たまたまとった電話が私に最大の不幸を招くはめに。


「誰よ、この入稿チェックしたの!?」


電話を切るなり怒り沸騰、そう叫んだ。仕事のできない奴も嫌い。人間だから間違いはある。でも、こんなもんは二度、三度のチェックで防げることであって。

私のデスクの斜め前、冴えない丸眼鏡が「あ、僕です!」遠慮がちに手を挙げた。

お前かよポンコツ!やっぱりお前かよ!そうだと思ったから叫んでやったんだよ、気づけよ、ポンコツ!

目が合うと肩を竦めるそいつは、新人の八木。下の名前なんて忘れたけど、妙にガタイがよくて声は悪くない。でもいかんせん、その丸眼鏡とボサボサの黒髪で、到底イケメン枠には入らない。


「これ日にち間違ってるわよ!」


大切なイベントの日にちが全て間違っていて、これじゃ使い物にならない。


「うわ、マジですか!?す、すいませんっ、至急作り直します!」


ガバリと頭を下げる八木に、盛大な溜息。今日はクラブの創立パーティーで飲み放題で、最近たまに来るってめっちゃ男前なバーテンにも会えそうな日だったのに。

バーテンとの運命が遠ざかっていく。

飲み放題が遠ざかっていく。


「一人じゃ終わらないでしょ。」


充電満タンのUSBをスマホから外すと私はいつもつるんでるハルに、遅れるか行けないかのLINEをしてポンコツのデスクに回った。

そんな私を見つめて一言「すいません。」唇を噛み締める八木の謝罪を無視して羽織っていたカーディガンの袖を捲りあげた。