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「雪乃さん?」
「思い出した。最初に選んだのは私の方だった。」
「え?なんの話し?」
キョトンとした顔でユーセイが私を見ている。
美味しいお肉が食べたい!って言ったら色々厳選してこのお店に連れてきてくれたユーセイ。さっき夏喜と会った事はまだ言ってない。この人の悲しい顔は見たくない。でも、ヤキモチ妬く顔は好き。
「なんでもない。これ、おいしー!」
「でしょ!ここの肉ってね、」
夏喜の想いを断ってユーセイを選んだのも私。この選択は間違ってないって思う。
「ね、食べさせて。」
ユーセイの肩に腕をかけて顔を寄せるとアヒル口で「照れるね、」そう言いながらフォークに刺した牛肉を私の口に入れた。
「美味しい。ユーセイがいるから余計に美味しい。」
「今日、なんか積極的だね、いつも以上に。」
「嫌い?こーいうのは。」
「…好き。雪乃さんならなんでも好き。」
照れながらも私の腰に腕を回して抱き寄せたユーセイは、辛うじて頬に小さなキスを落とす。でもそのアヒル口が頬よりも唇にキスしたいって言ってる。
「ユーセイの唇はいつもキスせがんでるみたい。」
「せがんでるよ、雪乃さんのキス。本当は今すぐしたいぐらい。」
「今すぐしてもいいよ?」
「えっ、いや、その、」
真っ赤になってるユーセイの顔を覗き込むように触れ合いそうな距離に寄せるけど、そのままスッと引いた。思いっきり目を見開くユーセイが可愛くて大好きで、その後は夏喜の事も思い出さなかった。
来年また、思い出すんだろうけど、一年に一度だけ、ね…。
*END*