episode 33


陣が健太を抱えて、私がネコを抱えてこの部屋から出た。

snakeの店内はぐちゃぐちゃで、ひっくり返って大きく息をしている未来と、まだ立とうとしている竜太。そして、サワにグルグル巻きにされたピンク頭がこっちを見て息を吐き出した。


「朝海。」


未来が呼ぶと、ネコは視線を未来に移す。

一度はネコが本気で好きになった未来は、アイリに惚れているのかもしれない。

少しネコに雰囲気の似たアイリに。


「未来くん…。ごめんね。あたし、健太が好き。」


正気に戻っているネコを見て儚く笑った。

最後に出てきたアイリを見て未来が駆け寄る。


「無事か!?」
「…うん。」


その眼差しに、その声色に、その瞳に、やっぱり未来はアイリを愛してるのかもって。


「なんだ、全滅かよ。」


竜太の声にアイリが「お兄ちゃん、ごめん。」…この2人も兄妹だったなんて。


「ちょ、健太さんっ!!!背中!!!」


だけど、まだナイフの刺さった背中を指さす黎弥にみんなが唖然とする。


「急所は外してると思うねんけど、血が止まらんかったら困ると思て。」


陣が健太を抱えているけど、動く度に傷が広がって小さく呻き声をあげている。


「とにかく安全な場所に!」


陸が先導して健太と陣を誘導するからそれに続いて出ていくみんな。

ネコが振り返って未来を見ていて、その視線に未来が気づくと、一歩近づく。

でもすぐにサワが身体を入れて私達を隠した。


「朝海、」
「未来くん、本気になれなくてごめん。」


ネコの精一杯の強がりかもしれない。


「だから未来くん、あたしの事は忘れて、前を向いてね?」


そして、未来(みらい)へと導いてあげられるネコは、とても強い子だね。


「もう迷うなよ、お前ら。」


サワがそう言って私とネコを外へ押し出した。