青い空の下、健太がガクリと体制を崩す。
「やっ、健太っ!健太っ!!」
ネコが私の横から這い出て健太の傍に行く。
「健太、死なないよね?」
ネコの言葉に「ばーか、ネコちゃん残して死ぬわけねぇだろ!」笑った顔は青ざめていて、救急車のサイレンが近くなっているのに、健太はそっと目を閉じたんだ。
大事な大事な、私の弟のその顔は、心底幸せそうだったなんて。
――――――――――――――
―――――――――
――――
あの夜から十日がたった。
今日は待ちに待った花火大会。
この花火が嘉くんと一緒に見たくて今日まで頑張ってきた。
黒い生地に大輪の花火模様の浴衣を着て空に打ち上がる花火を見つめる。
「たーまやー!」
「今時それ言わなくない?」
ふわりと私の髪を撫でる大きな手。
「…古い?」
「いや。そんなゆき乃も可愛いけど。」
「なになに?もう一回言って?」
「ふは。…可愛いよ、ゆき乃。」
「恥ずかしぃ。」
「自分で言ったんだろ?もう、こうしてやるっ!」
腕を引っ張られて後ろからギュッと甘い温もりに包まれる。
夢見ていたこんな展開。
ここにみんながいればもっと嬉しいのに。
「…ゆき乃?」
大人しくなった私を覗き込む心配そうな瞳に胸が痛い。
「あんなに2人きりになりたかったのに、いざ2人きりになるとちょっと寂しい…。」
「うん。そっか。そうだね、ごめん。」
「あ、違うの!誰が悪い訳でもないの。最近いつもこんな気持ちになっちゃって。もしかしたら今と違う未来(みらい)があったんじゃないか?って、色々考えちゃって。」
ギュッと広い背中に手を回して顔を埋める私の頭を優しく撫でてくれる。
この腕だけは二度と離したくないよ。
「健太…ネコ…やましょー…今頃どうしてるかなぁ?…花火、見てるかな??」
「見てるよ、きっと。行こう、俺たちも。」
「うん。」
差し出された手をギュッと握るとニッコリ微笑んだ。
―――――――――――――――