episode 06


「てか、誰やねんアイツら!健太なんやアイツら?」


まだ興奮気味の陣の声にかき消されたからそのまま聞こえないフリを決め込んだ。


「知らねぇよ。」
「…ほんとに?でもあんな派手にくるなんて、また下がなんかやったのかな、」


チッて舌打ちを飛ばす陸。だけど次の瞬間ガチャっとドアを開けて入ってきた黎弥が狂気的な顔で笑った。


「健太さん、クラブで会った女達、あのチームの女だったらしいっす。」


黎弥の言葉に今度はネコが沈みそうだった身体をムクッと起き上がらせた。


「クラブの女っ!?」


ネコがいると思ってなかったんだろう黎弥が、真ん丸な目で「朝海さんっ!いたんっすか!?」後ろ手でドアノブを回す黎弥は苦笑いで、今すぐにでもこの場から去りたそうに見えて。


「クソったれ、黎弥。」


健太のど低い声に「すいませんっ!」そう言って出て行く黎弥を苦笑いで見守るサワ。


「また女と遊んだの?健太!」


ネコの怒り顔に面倒そうに手でシッシって追い払う健太。それから視線を私に移すと顎でドアを指す。

これが姉弟だから健太が何を言いたいのか分かってしまうのは仕方の無いことで。煮え切らない私の背中を押すようにサワがポンと小さく押した。


「ネコ、アイス買いに行こ。」


黒ソファーに座るネコの手を握って無理くり立たせる。


「健太浮気してたらあたし別れるから!」


そんなネコの声を右から左に流す健太に更にヒートアップしそうなネコをマサが背中を押してくれた。

VIPから出ると足を止めるネコの前、赤い髪の未来が黎弥に様子を見てきて欲しいとでも言われたんだろう、私達を見て止まる。


「未来、ネコドライブ連れてってあげて。後これアイス。好きなの食べていいから!」


無理やり未来の手に1万円を握らせる私に苦笑いの未来だけど、俯いているネコを宥めるのは得意で、ネコの肩に腕を回して耳元で小さく言葉を発す。勿論なんて言ったのか分からないけど、ネコの機嫌を一瞬で直す未来は、もしかしたら近い将来健太と争うのかも?しれない、なんて姉ながらに思えた。