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「嘉くん!!」
倉庫から少し離れたコンビニの前、私の鞄を持った嘉くんが笑顔で手を振っている。
「ごめんね、こっちまで来て貰っちゃって。」
「いいよ、全然。」
ちょっとだけキョロキョロと辺りを見回す嘉くん。ここには私の護衛かの如く、チームの面子がちらほらと待機している。今更隠しても仕方のないことで。
「一応総長の姉だから護衛が付いてるの。ごめんね、」
「そっか、吃驚したけどゆき乃はゆき乃だから。」
微笑む嘉くんにやっぱり胸がキュっと締め付けられる。
「うん、嬉しい、ありがとう。」
「奥にある倉庫がさ、溜まり場って奴なの?」
「…へ?」
「…あ。ごめん、実を言うとさち子の友達がここに好きな人がいるみたいで、」
ズシーンってなんだろうか、重たい石を頭に投げつけられたような感覚で。照れくさそうに頭をかく嘉くんに胸がズキンと傷んだ。
「…うちは女は中に入れないから。入れるのは総長の身内と総長の女だけ。何の役にも立てない、ごめん。」
優しい嘉くんだから分かるけど。こーいう事って前はよくあったから正直うんざりしていた。チームの奴らは顔が綺麗な子も多いし。あの子らに憧れている女も多いんだろうって。
でも。
「もう用すんだ?すんだんならさっさと行けや。早よゆき乃を解放しろや。」
…後ろから私を抱きしめてそう言ったのはマサで。この期に及んで嘉くんを思いっきり睨みつけている。
私を「ねぇね」じゃなくて、「ゆき乃」ってわざわざ呼び捨てしてまでこんな事。
「あ、え、っと、はい、すいませんっ。」
「マサ、威嚇しないで。」
「やーだ。俺のゆき乃のそんな顔見てられんし。おいテメェ、ゆき乃をダシに使ってみろ、俺がぶっ殺すで。」
ペコペコ頭を下げて去って行く嘉くんを哀れだとは思わないものの、こーいう世界に慣れてしまった私は、ちょっとだけ切なく思ってしまったなんて。
まだまだ甘ちゃんなマサには、私の恋はバレちゃいけない気がした。