できるのなら、幼馴染って枠から飛び出たい…―――
でもそんな勇気私にはなくって。
視線の先は校庭でサッカーを楽しむ幼馴染で1才年上の先輩、なっちゃんこと、堀夏喜先輩。
家が隣同士で親も仲良くて、私は堀家と共に生きてきた。
昔から妹って立ち位置で、それは今も変わっていない。ゆえに、なっちゃんは私が密かになっちゃんに恋してるなんてカケラも思っていないんだろうなって。
なっちゃんを好きになればなるほど、私の中でもモヤモヤが大きくなっていって、今にも溢れ出しそうだった。
授業終了のチャイムと共に、こちらに戻ってくるなっちゃん達。いつも一緒にいる樹先輩は隣にいなくて、3年の女の先輩と歩いている。…楽しそうに笑って喋っているなっちゃんに勝手にヤキモチ。
絶対の絶対に、あの女の先輩よりも私の方がなっちゃんと仲良しだよ。学年が違うってだけで堂々となっちゃんの隣を歩けないこの距離がもどかしくてすごくすごく苦しいんだ。
昼休み。
パンえお買いに購買に行くと偶然にもなっちゃんの姿。でもあっちは私に気付いてもいないで、夢中でパンを選んでいる。
「あーあとカラアゲも一つ!」
大好物のカラアゲも買って満足気に振り返ったなっちゃんが私の存在に気付いた。だけどここは人が多くてまだパン屋のおばちゃんの前までたどり着けない私。背伸びをして間からぴょこぴょこ顔を出すも、前の人にドンって押されて廊下に出る。
「たく、どんくせえな。」
そんな声の後、なっちゃんの長い腕が伸びてきて私の手首を掴む。
「ちょっと退いて。ほらかえで、好きなの選べよ。」
すっぽりなっちゃんの腕の中、真後ろになっちゃんの吐息を感じてドキドキする。私の両肩に手をついて、頭に顎を乗せているなっちゃんが守るように私を腕で囲っていて…
「えっと、ツナとテリヤキ!」
「は?そんだけ?」
「え?うん。」
「ダメ、もっと食え。おばちゃんミートパイとクッキーもつけて。」
「ちょっとなっちゃん!私そんなに食べられないよ。」
「いいよ、残したら俺が食うし。」
ニカって八重歯を見せて笑うなっちゃんは私の買い物が終わると、そのまま腕を引いて屋上へと続く階段を登る。
大きな扉を軽々片手で押して開けると、寒空の下、澄んだ空気の中陽だまりがそこにあった。