「2人、なの?」
寒いのにブレザーを脱いだなっちゃんは、そこに私を座らせた。だから首に巻いていたマフラーをそっとなっちゃんの首にも巻きつける。
「…たまにはな。」
「…うん。」
静かな屋上は、微かに遠くから生徒たちの笑い声が聞こえてきて…でも今ここには私となっちゃんの2人きり。
「ユヅキ、」
「え?」
不意に名前を呼ばれてなっちゃんを見ると、真っ直ぐにこちらを見ていて。
「樹がお前のこと可愛いって言ってて…お前、いんの?好きな男とか…彼氏とか…。」
…なっちゃんが言いたかったのはこれで。たまにはでもなんでもないんだって。なっちゃんが私と2人でお昼食べたいって思ってくれたんじゃないかって期待した自分が馬鹿みたいで…「…いてもなっちゃんには関係ないよ、」こんなの単なる強がりだって分かってる。
だけど自分だけがなっちゃんを好きとか切なくて…
「…分かりやすいね、お前。」
ポスってなっちゃんが嬉しそうな顔で私の頭に手を乗せた。こっちは泣きそうなの我慢してるっていうのに、何でかやっぱり嬉しそうにパンと頬張る。
「食う?」
差し出されたのは苺のジャムパン。なっちゃんが何考えてるのかさっぱり分かんなくて、ただ横に首を振ると、「拗ねんなよ、ユヅキ。」そんな言葉の後、ふわっとなっちゃんの黒髪が揺れた。
―――え?
頭でそう思った時にはもう、私の顔を覆うようになっちゃんの美顔がくっついていて…。
ちゅ、って小さなリップ音の後、なっちゃんがニカって笑ったんだ。