「え、俺と?」
「うん!ダメ、かな…?」
みんなどのタイミングで後夜祭のダンパに誘っているのかわかんない。だけど、こーいうのっていわゆる早い者勝ちであって、人気者からどんどん取られていっちゃう訳で。
高校生活最後の体育祭。平成最後の体育祭。3年で部活を引退した私達にだけ、男女交際禁止の解除が許される。それにのっかる以外ない!
毎年3年の体育祭は異様な盛り上がりを見せているのはそのせいだ。
下駄箱で上履きからローファーに履き替えていた3年8組の八木勇征の腕を掴んで「ダンパ一緒に出たい!」そう言ったんだ。
翌日に迫った体育祭。何度も何度も言おう言おうと思ったけど、なかなか勇気が出せなくて、それでもやっぱり八木勇征以外は考えられないって思うから、一生分の勇気を使った気分で私は八木勇征を誘った。
「あ、もしかしてもう誰がいる?」
なかなか首を縦に振らない八木勇征に恐る恐るそう聞くとすぐ様首を横に振った。
「え、俺なんかでいいの?」
その頬はほんのり高揚していて、なんなら八木勇征の後ろ、黄組団長の瀬口くんと、同じく黄組の堀くんがニヤついた顔で見守っている。
「私の中で八木勇征しかいない、ダンパ一緒に出たいの!」
「ありがとう、すげぇ嬉しい!」
「ほんと?いいの?」
「うん、もちろん!」
「よかったぁ…。あのじゃあよろしくお願いします。」
「うん、あ!LINE教えて?せっかくだから!」
この日私のLINEに、八木勇征が追加された。