星の観測8

「北人に貰っとけばよかった〜…。」
「でもここじゃ背中痛くなっちゃう。」
「あ、そっか。そうだね。」
「勇征…あの、わたしのこと…好き?」


今更だけど、付き合おうなんて言葉は彼の口からもわたしの口からも出ていない。

先にこんなことしてしまった手前、それでも女は確信が欲しい生き物で。

わたしを見てニッコリ微笑むとギュっと抱き寄せて「大好き。だから俺と付き合ってください!」…照れてふにゃって笑う勇征に笑顔で頷いた。



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「なぁ知ってる?水部がいない時さ、あのプールでどっかのカップルがヤってたらしいって…。」



夏休み後半。

補修組が戻ってきて花火大会を目前にしてそんな噂が飛び交っていた。

陸が部室で大股開いてソファーに座りつつガリガリくんを頬張りながらそんな言葉。



「あー俺も聞いた。しかもさ、その日練習してたの俺らサッカー部と、陸部だけってね。こん中にいるかもしれないとか、」


健太が一人一人の顔をジっと見つめてくるから目を合わせないようにスっと席を立つ。


「え、まさかお前らじゃないよね?」


いぶかしげな健太の声に、振り返ると、同じタイミングで勇征が席を立っていたようで。


「違うわよ、御冗談を。誰がアオカンなんて…。」
「ユヅキ、それ今あんま言わないかも!アオカンって!」


陸に突っ込まれたけど、見る見る勇征の顔が紅くなっていく。



「は、お前顔紅くねー?」


樹に下から見上げられて突っ込まれる勇征は「違うから、ね?」苦し紛れにわたしを見る。…だけど、書いてある。残念なことにわたしでさえ分かってしまう、勇征の顔色。


「え、マジで!?」
「陸、煩い!ちなみにだけど、わたし達がしてたのはえっちじゃなくて、星の観測だから。行こ、勇征!」


手を伸ばすとふわりと包み込む大きな勇征の手。後ろで騒ぐ部員達を無視して部室から出た。


「あ、今日も空がピンク色。」
「バレてないよね?」
「バレてるわよ、勇征の顔に全部出てたもの。」
「うそ、マジで!?」


大袈裟に驚く勇征の手をキュっと握りしめると「今日勇征の家、寄ってもいい?」耳元で囁くと真っ赤な顔で「勿論!」嬉しそうに笑った。



*END*