そうして北人先輩に肩を抱かれたまま職員室をノックして中に入る。
「もう大丈夫か?…って、吉野。不純だ離れろ。」
呆れ顔の先生に「やだ。てか、無理。」肩の手をあろう事か、首にかけてバックハグ!
さすがに先生も私と北人先輩が付き合ってるのは承知の上だろうけど、この状態を見過ごすなんて事はない。
「吉野、こら!!」
こちらに一歩踏み出した先生をヒラリと交わして私の手首を掴むと「せんせー俺ら一週間ぶり!邪魔しないで!もういーでしょ!」そんな理不尽な言葉を飛ばして職員室から走り去った。
追いかけてこようとした先生も、さすがに不良の頭と追いかけっこする気はないらしく、「放課後職員室に来い、吉野!」なんて叫ばれて終わった。
「もー北人先輩、」
「ダメ、限界。」
えっ!?
壁に追い込まれてドンって俗に言う壁ドンからの顎クイで、美しい北人先輩の顔が近寄る。
先輩の視線は私の唇で、え、キスされる?
ボーッとしながら北人先輩をみつめていたらゆっくりと目を閉じて、迷うことなく唇が重なった―――
途端に心臓バクバクで。
甘い北人先輩の香りが唇からも伝わってくる。
キスだけで、媚薬でも使ったみたいに身体が痺れてくる…
「ユヅキ…」
「ンッ…」
北人先輩の薄い唇は、想像よりずっと柔らかくて、その舌はシルクみたいに滑らかに口内を行き来する。
病み上がりで激し…
そう思いながらも必死で北人先輩のキスについていって、やっとの思いで息を吸い込んだ瞬間、薄ら開いた目に入り込むのは、金髪と青髪。
「やっ、見てっ、」
北人先輩の胸を手で押して距離を作ると、それに気づいてかチッて舌打ち。
「おい、樹!慎っ!!見せもんじゃねぇぞ!!」
北人先輩の怒鳴り声に、くすくす笑う樹くんと慎くん。
「や、だって、こんなとこでキスしてたら誰でも見んだろ。北人さんがっつきすぎ!」
樹くんが、ポンッて北人先輩の肩を叩いて言うからまたも舌打ち。
「そーそー。ユヅキちゃんのためにもっとTPO考えてね、北人さん。」
慎くんにまで言われて北人先輩は大きく溜息。
視線は私を捕らえていて。
「ごめん。でも俺は足りない。だから、サボろ!」
えっ!?
またも手首を掴まれて学校の外、大きな銀のバイクに乗せられて誰にも秘密の二人の世界へと…
連れて行かれました。
*END*