苺ジャム3

「え、なっちゃ、」


私の背中に腕を回して、何回も何回も小さなキスを落とすなっちゃんに、何も言えなくなる。肯定もしなけりゃ否定もできなくて。


「ごめんさっきの嘘。樹…じゃなくて、夏喜。」


え、てことは、


「なっちゃん私の事、」
「好きだよ。小さい時からずっと、ユヅキだけが好きだった。」


優しく微笑むその顔に胸がキュンと鳴る。てっきり幼馴染の妹分としか思われていないって、そう思っていたのに。


「ほん、とに?」
「ファースト・キスだぞ俺。苺味のな!」
「…え、ファースト・キスって普通レモン味って言わない?」
「…え?そうだっけ?」
「そうだよーなっちゃん!」
「いーじゃん、普通じゃない方が。俺たちは苺ジャムの味で。」


ポコッて私の髪を撫でるとなっちゃんは笑った。なっちゃんがそう言うならそれでいいか、なんて私まで嬉しくなって笑い返したもののなんか違和感。


「待って!私あの、言った?」
「え?」
「なっちゃんのこと好きって、私言ってないよね?」


そう。なっちゃんは私の事、ずっと好きだった…そう言ってくれたけど、私だってそうで。でもその気持ちはまだ口にしていない…


「あー。ユヅキの気持ちはずっと前から知ってたよ。俺しか見てねぇって。」


間違ってないけど、あってるけど、なんか悔しい!!

それでも目の前のなっちゃんがどうにもかっこよくて、コクっと頷くと「んじゃ今日から俺のもんってことで、」そう言うとコロって私の膝に頭を乗せて寝転がった。

サラサラの黒髪に触れると「キュンとするからやめろよー。」なんて笑うんだ。

堀先輩はクールだって言われているけど、この笑顔は私だけのものって。


「なっちゃん大好き。」


素直に言葉にしたら、なっちゃんが真っ赤な顔で「俺も。」今日私達は、幼馴染を卒業しました。



*END*