「健太さん、こんばんは。好きにしていいのって、この人?」
私の腰にITSUKIの腕が回る。香水なのか、なんなのか物凄い色気のある香りが鼻をついてドキッとする。
「…副社長、なんの事ですか?」
「YES!優しくしてやって。」
私の質問と健太の回答が被って、ITSUKIに舐めまわすように上から下まで見られる。
「ふーん。可愛いじゃん。LINEのID教えて?後で連絡するから。」
「…え、あの、」
「聞いてないの?俺がCM出演OKした理由。」
首にかかるITSUKIの腕と頬を掠める甘い吐息におかしくなりそうで。
ふいに健太がスッと胸元からカードを取り出す。そこには私のLINEのIDがあって…
「ちょ、」
「黙れ。」
ピシャリと健太に遮られた言葉。もしかして私の事売った?それでCM出演取ってきたの!?
グッと唇を噛み締める私を前にITSUKIはニッコリ微笑むとそのカードを受け取って胸にしまう。
「後で連絡するね!雪乃さん。」
ちゅ…人目も気にせず頬にキスを落とすITSUKIに、山本さんの後ろ、黎弥が小さく睨んでいたような気がしたなんて。
モデル達が動くと、周りにいた女達も一斉に着いて行く。
私はすぐに健太の腕を掴んで衝立の奥へと連れて行く。
「なーにー?痛いの嫌いなんだけど、けんた。」
「どーいうこと?なんでITSUKIに私のLINE渡すの?」
「そんなに怒ること?今をときめくITSUKIに抱かれるなんて普通はできないよ?なに?なんか不満でもあんの?」
やっぱり。でもそーいう事じゃなくて、
「…健太はいいの?」
「………」
「健太は、私がITSUKIに抱かれてもいいの?」
自分は特別だって思ってる訳じゃない。だけどせめて、少しでも好きでいて欲しい。
「身体使って取ってこいよ、俺の為に。」
…胸が痛い。