お開きはみんなで集まってから二時間後だった。20歳になったばかりの樹をベロベロに飲ませた香澄は「責任もって送ります!」そう言って一緒にタクシーに乗っていった。あれ絶対食するよなぁーなんて可笑しくて。樹頑張れ!なんて小さくエールを送る。お酒が苦手な北人くんもだいぶ飲まされて今にも吐きそうだからって、汐莉が付き添っていた。
「あ、壱馬くん!莉子のこと送っていって!北人くんわたしが面倒見るから。」
「…北人、大丈夫?ごめんな、飲ませて。」
背中をさする壱馬くんに苦笑いで言葉も発せない北人くん。ちょっと可哀想。でも汐莉の服の裾をずーっと掴んでて、何だか北人くんの方が離れたくなさそうに見えるなんて。これも後で壱馬くんに聞いてみようって思った。
「北ちゃん吐いちゃえ楽になるぞ!」
そう言う汐莉に「やだ。」って頑なに首を振る北人くん。
「あーやっぱ俺が吐かせる。汐莉さんに見られたくないかも、北人。」
そう言うと北人くんの肩に腕を回して路地裏に連れていった。壱馬くんの言葉にキョトンとした汐莉の顔が満面の笑みに変わる。
「超絶可愛いんだけど、北ちゃん!やばい〜莉子〜どーしよう。わたしも香澄みたいに持ち帰っちゃおうかな。」
「…俊ちゃんは?」
「大丈夫、北ちゃん一人暮らしだって。宮崎から東京の大学受けて親元離れてこっちで一人暮らし、絶好のチャンスだ!俊ちゃんは300日ぐらいわたしをほおっておくから、仕方ない。」
なんだかよく分からない汐莉の方程式に苦笑い。残りの65日は俊ちゃんに幸せ貰ってるんだろうけど、確かに300日は少なすぎるよなぁなんて思えた。しばらくしてぐったりした北人くんを連れた壱馬くんが戻ってくる。
「北ちゃん大丈夫?」
「だめ。だから汐莉一緒に来て?」
「わたし必要?」
「うん。手貸して。」
顔色が少し戻った北人くんは、細くて綺麗な手で汐莉の手を掴んで指を絡ませる。絶対酔い覚めてるよね?なんだか俊ちゃんには申し訳ないと思うものの、この2人は見ていてほっこりしてしまった。
「壱馬くんありがとう。北ちゃんは責任もって介抱するので、莉子の面倒頼みます!」
敬礼のポーズでタクシーに乗り込む汐莉と北人くんがいなくなって壱馬くんと二人っきり。スッと手を握られてドキンとした。