「告白、しようかな…陸先輩に。」
2月上旬のお昼休みだった。クラスメイトの莉子がそんなことを言い放ったのは。思わず飲んでいたミルクティーを噴きそうになったけどグっと喉の奥をしめて堪える。
「本気?」
「…だってもう卒業しちゃう。このまま何もないまま会えなくなるのは嫌だよ、私。」
いつにもまして真剣な莉子の表情に胸の奥にいる慎の笑顔が小さくなっていくような気がした。こんな莉子の気持ち、慎には絶対に聞かせらんない。それから翔ちゃんにも。
高校2年の冬。バレンタインデーを前に校舎内はざわついていた。
わたしたち2年は後1年後にはみんなバラバラになるわけで。
サッカー部の3年生、青山陸先輩に一目惚れした莉子は、その溢れそうな想いを打ち明けようとしているんだと。前に進もうとしているんだと。
「わたしにはとてもじゃないけど、できない。」
放課後、練習をしている部員達を見て小さく呟いた。ここ体育館をメインに練習している我がバスケットクラブのマネージャーをやっているわたし。中学の時に、すごく好きな人がいたものの、恋愛の仕方が分かっておらず、結局両想いというだけでその先なんの進展もなく自然消滅だった。
それがなんとなくトラウマで、また同じことを繰り返したら…そう思うと人を好きになっても打ち明けることなんてできなかった。
「莉子先輩、スリーやりましょうよ?」
「またぁ?まこっちゃん、なかなかうまくならないよね!」
「だから練習付き合ってください!って言ってんですけどぉー。」
「いいけど、お腹空いたから、焼き芋奢って?」
「いいっすよ。それぐらい。」
ポンッと莉子の頭を撫でて嬉しそうに微笑む慎の顔はすごく可愛い。あの笑顔の先にいるのが自分だったら、なんて考えちゃダメだよね。