episode 08


「ゆき乃おっす!」


ポカッとわたしの肩に手を置かれてビクッとする。そんなわたしを見て苦笑いの北人。でもそのままポンって頭に手を乗せて自分の席に戻って行った。まずい、まずい、まずいよ、これ。

始業ベルギリギリに生徒会長の壱馬と仲良くやってきた莉子を見て溜息をつく。でも、運良く1時間目は自習になったからわたしは早速莉子をベランダに誘った。


「絶対大きい声、出さないで聞いてね?」


小柄な莉子の肩に両手をかけてくれぐれも、って念を押すわたしをキョトンと見つめる莉子。目を泳がせながらも「OK!」そう言った莉子の耳元で小さく言ったんだ。


「北ちゃんにキスされた。」

「えええええええ!!!!」


あれほどデカい声だすな!って言ったのに目ん玉飛び出しそうなぐらい大声で叫ぶ莉子の口元を慌てて手で抑えた。


「い、いつ!?」

「昨日の、帰り。たまには一緒に帰ろうって言われて、それでその、あ、ラーメン食べてこ!ってなって。」


まさか、莉子と慎が焼き芋食べて帰ってるのを見てたとも言えず、そこだけ抜かしてわたしは昨日の出来事をコソコソと莉子に話したんだ。


「北ちゃんってさ、あー見えてすっごい人気あるよね?確かに私達バスケ部で同じクラスで仲良いけど、ゆき乃のこと特別視してるってこと、なんじゃないの?だって普通、キスなんてしないよ!好きじゃなきゃ。…あ、」


ベランダの窓枠から顔を出した北人は、やっぱりって顔をしていて。その隣、翔ちゃんと壱馬も興味津々にわたし達を見ている。