ふわりと目の前に北人の顔が降りてきた。
え?一瞬何が起こったのか分かんないぐらいの出来事で。2回瞬きをしたら視界が開けた。
「はい、端よって。一応車来たら危ないから。」
ポコッて脇腹で押されて白線の中に入った。
「雨、すごいねー。星見れないじゃん。」
「………、」
「はぁー寒ぃ。くっついてるからちょっとだけ温かいね?」
「北ちゃん!!!!」
「なんだよ。聞こえてるって、そんなデカい声出さなくても。」
何故か余裕に見える北人。なんで、どうして?視線が絡み合うけど、至って普通。
「今の、なに?」
「なにって、キス?」
「そ、そうよ。なんでしたの?」
わたしが見つめるとスっと指を出した。
「1、急にゆき乃が可愛く見えた。2、ごめん魔が差した。3、…ゆき乃のこと誰にも渡さねぇ予防線張った。さてどーれだ?」
軽々しく言われて困った。どれもこれも耳には入っているけど頭に止まらなくて。でも一つだけ分かってることがある。3、のわけない。それは、絶対にない。
「2。」
「ファイナルアンサー?」
コクっと頷くとニッコリ微笑んで「正解!ごめんね。」制服の袖でわたしの口元をゴシゴシ擦った。
魔が差したとか、ありえない。許せない。そう思うのに、わたしの脳内はこの日を境に北人が住むようになるなんて。