癖のようなものだった。
「あれ…?」
右耳に触れた時に、一瞬ひやりとするあの感触が私にとっては安心できるものだった。それなのに今、その感触がなくいくら触れようとしても触れることができない。
「どうしたよ、#名前#」
「何かあった?」
「う、ううん、何でもない!」
シャチとベポの会話が、全く頭に入ってこなかった。ない。キャプテンにプレゼントしてもらった、キャプテンとおそろいのピアスが。
船に戻り、鏡を見る。やはりない。
堪らず船を飛び出した。今日行った場所を思い出しながら探すがない。
次の日も、また次の日も。船を降りてはピアスを探して回った。
そんな私の異変に、みんな不思議がるだろうなんて考えが浮かばないほどに。
「なんか#名前#、ずっと船にいないな」
「ほんとだね。どうしたのかな?」
「………ハッ!」
「?シャチ、心当たりがあるの?」
「相手にするなベポ。シャチが考えてんのはどうせくだらないことだ」
「くだらないってなんだよ!」
毎日船を降り、日が暮れる頃にしか帰ってこない。今までこんなことはなかったため、何をしているのか不思議にならない方がおかしかった。#名前#はあまり1人行動はしない。
「あれだよあれ!この島でいいやつでもできたとかじゃねぇの」
「ほら見ろ、くだらない」
「じゃあ何だよ!」
「#名前#だって、たまには一」