「…………ヒ…ロ…………ちょっとヒロってばぁ!」
「…あ?」
俺を呼ぶ誰かの声に気付いて思わずいつもの調子で返事をしてしまった。
それに気付いた時にはもう遅くて――。
「…"あ?" じゃないよ!私の話聞いてなかったでしょ?…てゆうかヒロどうしたの?最近冷たいじゃない!」
俺の名前を呼んできたのは常連客の女で―毎回といっても過言じゃないくらいの額を俺に貢いでくれている若女社長である。
「……別に何でもねぇよ。」
女社長の "どうしたの?" という問い掛けにそう答えるも彼女には
「…何でもないって感じには見えないわよ。最近のヒロ、
そう問い掛けられて俺は思わず眉間に皺を寄せてしまった。
――というか最近俺がボーッとしてる理由なんてただの客に話す義理もない。
何故ならそれは俺のプライベートで彼女には知られたくないことだからだ。
――そう。最近の俺は……。
何故だか麻弥のことばかりを考えるようになってしまっていた。
自分でもこんなに一人の女のことを気にするなんて不思議で仕方ない。
「……悪いけど、俺のプライベートなんだ。お前には関係ない。」
「…つれないのね。ヒロは他のホストと違って全く自分のことは話さないものね。」
そんなことを言われて俺は更に眉間の皺を深くさせてしまった。
