「…え?」
考え事をしていた僕に突然、男性が思い出したように言葉を
「…お前、なんだよな?」
「…な、なにが、ですか?」
男性の質問の意図が理解できず聞き返していた。
「…麻弥のことを… "尾行してた幼馴染み" って。」
「……。」
数ヶ月前の "尾行" のことを出されてしまってすぐには何も答えれなかった。
麻弥ちゃんの父親に逆らえなくて――致し方なかったとはいえ…今更ながら "僕はとんでもない事をしてしまった。" と申し訳ない気持ちで麻弥ちゃんに話し掛けれずにいるくらいには後悔しているのに……。
それを再度突き付けられて更に後悔が深まったような気がした。
「…麻弥の父親って…。 "
「…え?」
僕が何も答えれずにいると次に男性の口から発せられた言葉に驚きを隠せなかった。
「…麻弥には確認してねぇけど…。初めて麻弥に会った時にフルネーム名乗られて気付いたんだ。」
「…僕の父親も社長ですけど、七瀬財閥とは昔から付き合いの深い取引先なんです。だから僕、七瀬社長には逆らえなくて…。」
「…まあ逆らえねぇ気持ちはわからなくもねぇな。七瀬財閥は大企業だし取引先なら尚更…な。」
「でも!今はもう…。麻弥ちゃんにもやめるよう言われて…。してませんよ!」
「…わかってる。麻弥から聞いた。」
「こ、今回は、麻弥ちゃんを見掛けて気になって…。つい、です。」
「だろうな。別にそこは疑ってねぇよ。」
「…じゃあ、何故、です?」
何故、僕があの時の "尾行" した "幼馴染み" だと気付いて質問したのかいまいち理由がわからなかった。
「…俺が気になったんだ。」
「え?」
男性の言葉に理解出来なくてもう本当に何度目かわからない
「…俺が知ってる麻弥のことは話せねぇけど。"幼馴染み" がどういう奴かって…。けど、麻弥とは正反対みたいだな。」
「…え?」
「麻弥はお前が思ってるほど…。自分自身の家のこととか…気にしてなかった。…寧ろ麻弥は自分自身が "社長令嬢" という肩書きに重荷を感じてるだろうな。」
「…え、そんな……何故あなたに……そんなことが分かるんですか?」
"社長令嬢" が 麻弥ちゃんの "重荷になっている。"
それが僕には理解できなかった。
僕が麻弥ちゃんと初めて会った時にはもう七瀬財閥は大企業で…麻弥ちゃんは "社長令嬢" という存在だったから――。
