心配事【廉視点】




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れん!」


授業を終えて帰ろうとした矢先、名前を呼ばれて振り返ると…そこにいたのは同じ学部の友人である雅人まさとだった。


「廉、よかった!間に合ったぁ!」
「…なんだよ。」


大体、雅人に呼び止められるとロクなことがないから俺は怪訝けげんな顔で雅人を凝視ぎょうしした。


「…廉、お願い!今日の合コンに参加して!」


──やっぱり。


雅人に呼び止められると大体は "合コン" 絡みで昔から "合コン" のセッティングなんかは雅人がおこなっていた。

因みに雅人とは "腐れ縁" とかいうやつで高校からの付き合いだ。


「は?合コンなんか行かねぇよ。」
「なんで!!てか1人キャンセルになって困ってんだよ!だからお願い!廉!」
「知らねぇよ。そもそも俺フリーじゃねぇんだし他あたれよ。」


俺がそう言って歩き出そうとすると再度雅人が呼び止めてきた。


「廉、変わったな。」
「…あ?」


雅人の唐突な言葉に俺はまた怪訝な顔で雅人を凝視ぎょうしする。


「前は合コン誘ったら絶対来てたのに……そんなに神楽かぐら先輩が大事?」
「大事だよ。俺はもう合コンなんか興味ねぇし陽菜以外の女にも興味ねぇ。」
「…ふーん。なんか廉じゃないみたいだな!」
「…話はそれだけなら俺帰るわ!じゃあな。」



俺はそう言うときびすを返して歩き出した。

今度は雅人も呼び止めてこなかった。

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