苦手なもの




いつものように自然と廉の手を握ると廉も握り返してくれた。


「…まあいくら陽菜が俺以外に触れないからって…またあんな事あるかもしれねぇから気を付けろよ。昼間とか俺、大学あるから助けにこれねぇし。」
「うん、わかってる!」
「…あ〜〜俺も早く就職していつでも陽菜の傍にいれるようになりてぇ〜!」


廉のそんななげきの言葉に私は思わず笑ってしまっていた。


そんな私の笑い声は廉の耳にも届いていたみたいで…。


「笑ってんじゃねぇよ。」


…なんて言われてしまった。


因みに廉はもうすぐ就活の時期に入り私の勤務する会社に "絶対に入る!" と、前々から耳にたこができるくらい聞かされていた。


でも私も廉が同じ会社に来るのは嬉しくて反対してはいなかった。

寧ろ賛成していた。




──だからいつか本当に叶うといいなぁ。


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