第一章 (1/5)



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──ある日の夜。


ここはある一軒家で極々普通の家庭のリビングの一環。

そんなリビングにはこの物語の主人公である少女とその母親の心配そうな言葉から始まる。





「ユウ、ちゃんとご飯は食べるのよ。あ、洗濯も忘れないでね。でも、お勉強はちゃんとするのよ。」


翌日から両親は旅行のために一週間留守にする。


その一週間の間、この家にはユウひとりになってしまうのだ。


その為かたった一週間なのに母親があれこれとユウにそう捲し立てるように言葉を紡いだ。



まるでこれからずっと独り暮らしをするような感じで本当に心配そうな口ぶりだ。



そりゃあ母親にとってはいつまでも子供だというのは理解できる。


だけど──。



(そんなことはわかっている。
もう高校生…しかも二年なんだ。
小学生みたいなこと……。)


そんな考えが脳裏に過ぎってしまい、ついつい母親の言葉を耳にすると嘆息してしまう。


「ユウ、疲れてるの?やっぱり旅行なんてやめましょう?あなた!」
「何を言ってるんだよ!もう出発は明日なんだ。それにユウはもう小さな子供じゃないんだから。」


母親は "旅行なんてやめよう。" と父親に同意を求めるも父親はユウが "独りでも大丈夫。" だということを理解してくれているのか、母親に "心配ない。" という表意を示してくれた。



(そうそう!)


ユウも父親の言葉に思わず心の中でそう呟いていた。



「明日は早いんだ。もう寝よう!」
「あなた!」


そう言うと父親はバタンとリビングの扉を閉めて自室へ向かった。


父親がリビングを出て行って数分後、ユウも未だに心配そうに自分を見つめている母親に言葉を掛けた。



「私、もう少し勉強したいから部屋に戻るよ。明日見送りできないけど、私の分まで楽しんで来てね!」



それだけを母親に言うとユウはリビングを出て自室に戻り机に向かい、英語の辞書を捲ったり、問題集を解いたりした。



◆◇◆◇


勉強に夢中になっていてユウはふと時計を見ると時刻は零時を過ぎていた。



(…お風呂に入るか…。)


椅子から立ち上がり、風呂に入る前に水を飲もうとキッチンへと足を向ける。


(…あれ?まだキッチンの灯りが点いてる…。)


キッチンの中に入ると母親が何かを作っていた。



「母さん、何作ってるの?」
「ユウ。」
「明日早いんだからもう寝たら?」


食器棚からコップを取り、給水器から水をコップ一杯ほど注いでテーブルの上に置きながら口を開いた。



「私、ちゃんと食べるよ。だから…作らなくても大丈夫!」
「ユウ、本当に大丈夫?」
「大丈夫だって、母さん。私、風呂に入ってくるよ。」


ユウはそう母親に告げると、お風呂場へと向かった。



****


お風呂から上がり、濡れている髪をバスタオルで無動作に拭いてパジャマに着替え脱衣場から出てキッチンに戻るともう母親の姿はなかった。


ユウは目を擦りながら呆然とキッチンを見つめていた。


(…あ、またコンタクト取らずにお風呂入っちゃったよ…)


目を擦ってしまった後に気付きそう心の中で呟いた。


もう何度目かわからないコンタクトレンズの取り忘れだった。









―――それから暫くして自室に戻り、コンタクトを取って一時過ぎにユウは就寝した。


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