初めての恋人 ( 1/ 9 )
「…好きです…先輩…私と、付き合ってください。」
私は生まれて初めて好きな人に告白をした。
そのお相手は私がマネージャーをしている部活の2年生の先輩で名前は……。
桜木 律先輩。
桜木先輩はバスケ部のエースでその上容姿淡麗なのもあり全学年対象で女子生徒にもかなり人気があるけれど、性格は物凄く冷静沈着で無口な人だから……。
どんなに可愛い女子生徒に話し掛けられても避けるような感じで全く相手にしていないのも学校内ではわりと有名な話なんだとか──。
──そんな桜木先輩に片思いして半年が経ち、私は駄目元で先輩に告白をしたのだ。
桜木先輩がそんなに女の子に興味がないことも結構有名な話だった。
だから本当に本当に駄目だと思っていた。
けれど、桜木先輩からの返事は私の "駄目" だという思考を覆した言葉が返ってきた。
「…いいよ。」
桜木先輩のその返事に私は驚きを隠せなかった。
私ともそこまで会話をした事がないはずなのに…
まさかの了承の返事だったから。
「…本当、ですか?」
「…本当に。」
信じられなくて再び問い質すと桜木先輩は短くそう答えてくれたのだった。
返事は物凄く素っ気なかったけれど、私は嬉しくて仕方がなかった。
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