「…本当、だったんだ…。」
私が思わずそう呟いてしまうと麻子先輩は驚いたように聞き返してきた。
「え?なに?」
「あ、いや…。律君が彼女以外の女の人から名前で呼ばれるのを嫌ってる話です。」
「
「いえ、知ってたというか…。友達から聞きました!」
「そうなのね。…まあ桜木が彼女以外から名前を呼ばせないのは有名な話だからね。…あ、休憩入るよ!」
麻子先輩の最後の言葉に私は慌てて律君のタオルを用意した。
だけど、私の側に真っ先に来たのは…。
「…
律君ではなく──何故か佐々木君だった。
私は律君へのタオルしか持っていなくて──"どうしよう…。" かと
「あ、さ、佐々木君…お、お茶…!」
「うん、それも欲しいけど…。それより先に汗拭きたいな〜。」
「え?そ、それは…。」
私は手に持っているタオルをギュッと握り締めて
「…お前は矢野からタオルを受け取れ!」
突然聞こえてきたその声に私は慌てて顔を上げると、佐々木君のすぐ横に律君がいて──かと思えば私のすぐ側まで来て私の手からタオル奪ってベンチに腰掛けた。