女なんてみんな一緒だ、と。
自分とは違う造りの、人間としての番の人種を見下して生きてきた。

自分の顔のかたちがいいことは数年生きた時点でよくわかっていた。
とにかく賞賛の嵐だった。
同時に自分の性格がどんどん歪んでいったのもよく感じていたことだ。好きだという押しつけがましい、息苦しくなるまでの好意をぶつけられ、私物が盗まれる。強引に手を取られる。勝手に噂される。

性的欲求を満たす以外、お前らに求めることなんてない。いつしか彼女たちをそう嫌悪した。
上等なオスを捕まえたくてハイエナのように餌場を食い散らかす。
仲間内で食い合う。
女子の社会は、見せつけられるほど野性的でおそろしかった。


その感情は中学生の頃より、部内に同じ感情を持つ仲間がいたことで修正の機会は訪れなかった。むしろ加速した。
自分のように顔のつくりのいい仲間が、中学テニス部にはたまたまそろってしまったらしい。
そのテニス部が強豪であったことも原因の一つだったように思う。女子たちは群がり、俺たちの自称ファンクラブを結成し、牽制し合う。
テニス部の仲間同士で女というものは大体において恐ろしいということで話が合ってしまった。
自分はこうやって女を適当にあしらいながら生きていくのだ。そしてそれは珍しいことでもなんでもない。みな同じような感情を持ち、苦労しているのだからと、そう思っていた。


「精市、く、ん、」


そんな自分がどうしたことだろう。
目の前の、ひとつ年下の女の子。名前は寧々ちゃん。
気付いたら一目ぼれだった。内気で引っ込み思案で、わたしなんかと卑下する彼女を口説いて口説いて。押しが強すぎると彼女は怯えて、仲のいい女性の友人たちの背中に隠れてしまうから、彼女の友人たち(保護者達ともいう)に無害な男アピールを悲しいほど繰り返した。
口説き方なんてわからなかった自分は、はたからみたらさぞ滑稽に彼女に話しかけていたことだろう。どうしたら自分のほうを向いてくれるのか考えて。いつしか彼女の裸を妄想することでしか欲求を解消できなくなっていて、もう本当に彼女とでなければ自分は男性として生きていけるかもあやしい、と思いつめていたところで、彼女はやっとこちらに振り向いて笑ってくれたのだ。やさしくかわいく。
それからも男性経験がない彼女が自分になれるまで耐えに耐え。そろそろ仙人にでもなれそうだとさえ思った。



やっとその機会が巡ってきて、童貞だったときよりも自分の心臓がどきどきと大きく高鳴るのがわかる。

出来るだけ恐怖を感じないように、彼女の頬をやさしく抑え、ゆっくりとキスをする。他人の唾液の味がこんなにもおいしいと思ったのは彼女とキスをして、初めてだった。
歯の裏まで味わいたい。ざらついている上顎さえいとおしい。
二人分の唾液がこぽりと寧々ちゃんの唇からおちて、俺の枕に吸い込まれていく。
はあ、と耐えがたいように顔をあかくして、こちらを涙目で見つめてくる寧々ちゃんは凶悪的なかわいさだ。こんなにも女の子を、女の子だと思ったことは無い。かわいい。

「せい、いちくん。くるしい」
「すごい...どきどきしてるね...?」
「...あ、う....あつ、....」

こぼれた唾液を親指で拭いながら、ゆっくりと細い首に手の平を添わす。羞恥でふるえる真っ赤な首は煽情的すぎて下半身が痛かった。どくどくと血を循環させていることが伝わる。もう全部、全部かわいくてどうしよう。
顔のあらゆるところにキスを落とす。鼻、顎、頬、まぶた、額。そこからすっと耳にむかう。耳殻が薄い。真っ赤になっていて、そこもおいしそうだった。
やさしくキスした後に、耳殻をそっと舐めてみる。決して人間の皮膚がおいしいわけじゃない。塩気のある独特の匂いがするはずなのに、おいしいと感じるのは俺の頭がバカになってしまったからなのだ。

「ひゃ、あう」

寧々ちゃんの体がぴくりと震えて、弱弱しい声を出した。かわいすぎて死にそうだ。どうやら初めてでも感じてくれているらしい。
愛撫なんてものは適当にやっておけばいいと思っていた。相手の体が濡れれば自分が入りやすくなる、そのためだけに必要なのだと。
ただ彼女は違う。溢れるほどの愛をあげたい。彼女の反応が見たい。たくさんたくさん味わって、キスして噛んで舐めてどろどろにしてみたい。
気が付いたら、耳をむしゃぶりつくしていた。耳殻だけでなく、耳の穴にも舌を突っ込んで舐めまわす。舌の感触だけではなく自分の興奮した吐息にも敏感に震え、いやいやと首を振る彼女を押さえつける。本能で分かっているのか、足をもぞもぞと動かして快感に耐える彼女は凶悪の一言だ。
かわいい、すきだよ、と囁くと「ひゃ、あ、」といちいち震えるのもかわいい。

「耳、反対側もだして..?」

キモチよかったでしょ?舐められたいでしょ?気持ちよくしてあげる。催眠のように囁くと、寧々ちゃんは泣きそうな快感にそまった目で見つめてくる。

「せいいち、くん。わたし、わ、たし、はじめてなんだ、けど。
はじめてなのに、こんなふうに、なるのは、普通な、の?」
「ん?普通だよ。いっぱい、男に舐められるのも普通のこと。だから安心して舐められて?」

にっこりと笑いながら小さく、囁きながら告げると、彼女はさらに赤くなって恥ずかしがる。
正確に言えば男の愛撫の時間なんて人によるだろうし、寧々ちゃんでなければこんな風な愛し方はしていない。それでも彼女はこの先の人生俺のものだ。恥ずかしがりな寧々ちゃんは他の人に自分のセックス事情を相談したりもしないだろうし、この先自分に疑いがかかる可能性は低いだろう。
一生彼女としかセックスしない。もう決めた。そして今は自分の心の赴くまま、彼女をしゃぶりつくしたい。

もう反対側、差し出された耳をいただきます。と告げながらかぶりつく。んんっとうめきながら彼女は腰から足先まで浮かす。その間に上着の裾からブラジャーに向かって手を伸ばす。背中側からぱちりとホックを外しても、彼女は耳への刺激で俺がいったい何をしているのかわからなくなっていたようだ。

「ばんざい、しようか」

ちう、とあとが残りそうなほど。むしろ残っていると思う耳裏から唇をはなして、そう囁く。ぼんやりとした彼女は自分の想像よりもすんなりと服を脱いだ。
妄想よりもかわいらしい形をした胸。双乳のあいだに舌を突っ込んで、下腹へと沿わせていく。ああなんてかわいいおへそなんだろう。死にそうだ。
彼女はもう俺を直視することも出来ないらしく、震える瞼をきゅうと音が立ちそうなほど、哀れなほど力強く閉じている。

「かわいい、ね」

何度口にしたかもわからない台詞。真っ白に浮かぶ下乳を執拗なほど撫で回す。ふっくらと立ち上がる乳首にはまだ、触らない。
ひっそりと愛液のにおいがするパンツ。あー。パンツも舐めたいけどさすがに最初にそれはだめかな。揺らぐ柔らかそうな足。
下乳がかわいい。多分彼女はおっぱいが垂れても可愛いんだろうな。親指でやさしくさするたびにんんっと可愛い声を漏らす。乳首があまりにも紅くぷっくりとしているので、かわいそうに見えてゆっくりと摘んだ。おいしそうだ。

「ああっ、うっ」
「我慢しないで?気持ちいいときは気持ちいいって、言って?」
「せーいち、くん、せー、いちくん」

乳首を摘みながら下乳にやわらかく噛み付く。感触を覚えそうなほど噛むと、少しだけ歯型が残った。
そこから舌先を尖らせてつつ、と脇まで辿ると汗の味がする。においにクラクラした。きちんと処理された脇も可愛いけど、なんなら次はちょっと毛を残しておいてくれてもいい。
脇も弱いらしく、反応が可愛すぎてそこも執拗なほど舐めて噛んで痕をつける。二の腕も柔らかい。噛む。噛み癖がつきそうだ。
摘み過ぎなくらい摘んだ乳首をようやく噛む。前歯でやさしく噛んだり、犬歯で少し強めに。

「もお、やあっ…やあ、むりい」
「むりじゃないでしょ?可愛いお尻が揺れてるよ?気持ちいいって言ってごらん」
「ゆきむらくんの、ばかあっ」
「違うでしょ?精市くん、だよ」

感じすぎて混乱してきた彼女は、しばらく前の呼び名で俺を呼ぶ。お仕置きのつもりで舌先で乳首を弾くと、感じいったように寧々ちゃんの体が震えて、あ!と一際大きな声を上げた。

あ、やば、かわいすぎ。

俺も脳内で何かが切れたようで、瞬間射精していた。全部かわいい寧々ちゃんが悪い。


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