鋭利で甘い

ガンガンときいたクーラーの中、課題を教えてもらっている最中だった。唐突に周助は言った。

「おいで」

それは魔法の一言だ。王子様から施される突然の施しの合図。
周助は王子様だ。隣の家に住んでいる、王子様。
目が合うと周助は優しげににっこりと笑う。視線に逆らうことは許されない。私はその目に釘付けになる。切れ長で綺麗。
途端に私の部屋の中には淫猥な雰囲気が漂うようだ。
違う。もとからこの部屋は性の匂いが染みついている。
ペンを置いておずおずと近づき、そっと彼のTシャツを摘む。周助は仕方ないなといったような仕草で私の腕を引っ張った。王子様からの施しにいつまでも慣れることのない私に、周助は優しい。
膝の上に乗せられ、ぎゅっと抱きしめられる。周助の右肩にそっと額をつけて甘える。周助の鎖骨からは、いつもいい匂いがした。部活帰りのときもだから、この匂いは彼の体臭なんだろうと思う。
背中に回った、一見細く見える腕は実は筋肉質だ。その筋肉の繊細な動きは色んな人の視線を釘付けにする。

「名前」

ふうっと、耳に囁かれる低すぎない色っぽい声。いつも私を呼ぶのとは違う声に勝手に体が震えた。

「耳が、よわいよね」
「‥‥や、は、‥」
「ボクが、そうしたのかな」

初めて触られたときから、周助は執拗に私をたくさん触って、舐めた。時折ぎゅっと力強く握られたり、噛まれたりする。
少しだけ興奮したような、いつもより荒い息が私の耳の中に降りかかる。耐え切れなくてか細く私は嬌声をあげた。発情期の猫のようでいつも恥ずかしい。
周助の薄い唇が私の耳をなぞる。耳の中の皮膚を噛まれて、お腹の中が熱くなる。
汗ばんできた背中を大きな手がなぞった。背骨の横のラインを触られ、脇腹をさすられると貧相なあばらが痙攣する。周助の指はラケットをいつも握っているせいで硬くて乾燥しているから、ザラザラとしているのだ。それが気持ちいいのだと彼に教えこまれた。

「脇腹、いつもより乾燥してない?」
「そ、かな、」
「そうだよ。お風呂の後、ちゃんとクリーム塗っておきな」

囁きながら右手は器用にぱちんとブラのホックを外す。部屋着の短パンから覗く足を、周助の左手は丹念にさする。
ブラをたくし上げた右手の親指は、つんと立ち上がった私の乳首をそっと押し潰す。

「ひゃ、ん!」
「勃つの早すぎない?かわいいけどさ」
「ふ、あ、‥‥周、助」
「期待には、ちゃんと応えなきゃね」

周助はきちんと両手で、両乳首を弄った。抓ったり押し潰したり、器用に。彼の唇は私の首筋に移動して、そこにたくさんのキスを落とす。私の体は勝手に舐めて欲しいと言わんばかりに王子様に首筋を素直に差し出した。軽く吸われるのが気持ちよくて、溺れそうになる。もうパンツの中が気持ち悪い。
そんな私の状態に気がついたのか、クスクスと周助はわらった。

「名前、ほんと、いやらしい」
「も、や‥‥あッ!」
「…やらしい」

わざと低く囁く意地悪をして、唐突に手をショートパンツに突っ込む。柔らかい生地の部屋着は、容易くその侵入を許した。湿った陰毛を宥めるように撫でた後、顔を出している突起をつつく。
既に欲情をあらわしたその器官をくるくるとなぞる。私の反応があからさまなのを楽しみたいのか、周助はそこを弄るのが好きだ。

「このままだと触りづらい。名前、ちょっと」
「…は、あっ」
「……のぼせてるの?」

部屋の温度が高くなっているように思う。周助の肌も心なしかぺったりとしていた。向かい合わせの状態から、彼の胸板に背中を預ける状態になった。小さな子供を抱えるように、周助はまたやわらかく私を抱きしめる。今度は左手で私の胸を触り、右手を股間に突っ込んだ。

「クリトリス、そんなに気持ちいいの?」
「……ひゃんっひゃっ…あっ」
「ちゃんと言わないとダメって、言ってるでしょ?」
「も、きもちいい、から」

彼はクリトリスを摘んだり、なぞったり、一通り楽しんだ後で、指を秘壺に突っ込んだ。

「…どろどろ。あつい…エッチだな」

周助の荒い息が感心したように私の耳を嬲る。耐え切れないように耳たぶに噛み付かれて、びりびりとしたものが背筋を辿る。

「あー、今ぎゅって、締めたよ」
「…言わなくて、いいのにっ」
「いやだよ」

壺の中の前腹のほう。中指で優しくなぞられて、乳首を強めの力で摘まれるととても気持ちよくなってしまって、なにかを強請るようにきゅうきゅうと締め付けてしまう。指が2本に増えて、器用に私の気持ちのいいポイントを優しく優しく弄った。

「あ、んんっ、‥‥やっ」
「これじゃイケないよね。…達かせてくださいって、言ってごらん」
「は、あ、」
「ほら、名前ボクの目、みて」

乳首をなぞっていた手で顎を摘まれ、上を向かされる。男の人の目をした周助が、私をじっと見つめた。頭の中がぼんやりする。全てを放棄してその一言を口にすると、周助は私をいいこ、と言った。
強い力で感じてしまう箇所を擦られ、クリトリスをぎゅっと親指が押しつぶすと、私は呆気なく達した。痙攣するときにお尻が彼の大きくなった性器にぶつかる。
周助はまたはあっと熱い息を吐いて、動きすぎて剥き出しになった肩をちゅう、と吸った。

「ほら、脱いで」
「んっ……」

頭をやさしく撫でられ、力の抜け切った私を抱きしめながら周助は私のパンツをショートパンツごと脱がす。
彼はティッシュを手に取り、ぐしゃぐしゃに濡れた私の性器を丁寧に拭う。優しい手つきにまた感じて震えると、周助はクスクスと笑う。そしてかわいいね、と囁いた。
汚れた洋服はそのまま床に放置し、腕を伸ばしてベッドのタオルケットを引っ張ると私のお腹に巻きつけた。
いいこだね。
周助は私がぐにゃぐにゃになり動けないときだけ、滅茶苦茶に甘やかす。ぽんぽんとお腹を撫で、こめかみにキスを落とす。抱きしめる。可愛がっているぬいぐるみにするように。
私がしっかりと座れるようになると、彼は何事もなかったかのようにじゃあね、と言って部屋から出ていった。

prev next