Si sciolgono nell'amore
『委員長、この書類の確認をお願いします。』
「そこに置いておいて。………ずいぶん張り切ってるね。」
『え、そうですか?』
「いつもより生き生きして働いてるよ。普段はもっと目が死んでる。」
『失礼過ぎませんか!?もう…嬉しいんですよ、こうして平和に学校生活を送れることが。』
リング争奪戦が終わって数日が経とうとしていた。すでに校舎もピカピカに直されていて、いつも通りの日常が戻ってきた。登校して、授業を受けて、委員の仕事をこなす。この日々を私は一週間待ち望んでいたのだ。嬉しくないわけがない。
「ふぅん。」
『委員長は嬉しくないんですか?』
「嬉しいよ。もう草食動物と群れなくていいからね。」
『ああ…、』
理由が委員長らしいというか何というか。思わず笑いそうになったが、なんとか咳払いで誤魔化した。こうして委員長と一緒に話すことが出来るのも正直嬉しい。そういえば委員長は、会った頃と比べて背が伸びたなあ。相変わらず顔はとても綺麗だし、黒髪もサラサラだ。
「何見てるの。」
『えっ、あ、委員長は背が伸びたなあって思ってただけです。』
「当たり前でしょ、男なんだから。」
『……………。』
そうだ、そうだよね。委員長は男の人で、私よりもどんどん大きくなっていく。私を守ってくれた背中も、大きな手も男の人だからなんだよね。わかっていたけど、いざ言葉にされるとなんだか不思議だった。
「なんで顔が赤いの?」
『えっ!?』
彼に指摘されて思わず両手で頬を触った。すると思ったよりも熱くなっていて、鏡を見なくても赤いことがわかる。彼は椅子から立ち上がり、私のそばに立った。
『あ、暑いだけです…!!』
「暑いだけでこんなに顔を真っ赤にさせてるの?」
『っ、』
「林檎みたい。」
すり、と頬に委員長の手が滑る。なんでこんなに恥ずかしいの。委員長に触れられたところがさらに熱くなってる。でも、離してほしくなくて、もっと触れてほしいって思ってる自分がいる。
「…そんな目で見ないでくれる。」
『っ、私今どんな目してました…?』
「何かが欲しくてたまらないって目。何が望みなんだい?」
『そんなこと…!』
「花莉、」
そんな優しく呼ばないで。心ごと、とろとろに溶かされて、掬われていく。全てを見透かされているようで、不安になる。委員長に抱くこの感情は何なのか、私ですらわからないのに、貴方はまるで知っているように私を見るんだ。
『もう…少しだけ……、このまま…、』
「ワオ、君にしては珍しく甘いおねだりだね。」
『ダメ…ですか…?』
恐る恐る彼の顔を見上げると、彼は少し驚いた表情を見せて、直後にぷい、と顔を晒した。
『照れてます………?』
「照れてない。くだらないこと言うと咬み殺すよ。」
『ひいっ、すみません!!』
「……本当に君はよくわからないな。」
『え…?』
委員長が何かをボソリと呟いた直後、グッと私達の距離は縮まった。そして、唇に痛みが走る。
『っ!?』
「他の男の前でそんな顔したら、咬み殺すからね。」
『……………っ!?』
ぶわりと熱が全身を駆け巡る。委員長にかぷり、と唇を噛まれたのだ。肉食動物か!!思わず委員長と距離をとって抗議をした。
『なんで噛むんですか!』
「無防備で腹が立ったから。」
『意味わかりません!腹が立っても人の唇は噛んじゃいけません!』
「君しか噛まないよ。」
本当にこの人は本能的に行動する人だな。私なら噛んでいいのか、酷すぎる。結局、噛むんだったら唇以外の場所という提案で譲歩してくれた。いやそもそも噛まないでほしいのだが。そのうち噛みちぎられたらたまったもんじゃないな。
「そういえば君いつになったら校歌歌ってくれるの?」
『あ…、』
「ちゃんと全部歌ってもらうからね。」
この言葉通り3番まで校歌を歌わされたのは言うまでもない。
***
『疲れた………、』
委員の仕事が終わり、もう外はすっかり暗くなっていた。そういえばランボ君が退院したと聞いたけど、まだ会いに行ってない。せっかくなので沢田君の家に寄ってから帰ろうと思い、沢田君の家へと向かった。沢田君の家の前にたどり着くと、なんだかすごく賑やかな声が聞こえた。なんだかそのことが嬉しくて、顔が綻ぶ。
「ガッハッハ!死ねリボーン!」
「お前が死ね。」
「ぐぴゃっ!!が…ま…ん…!」
沢田君の窓が開いているみたいで、よく声が聞こえた。ランボ君がまたリボーン君に挑戦して返り討ちにあっているのだろう。
「おいランボ!病み上がりなんだから10年バズーカは使うなって!…ってどこ向けてんだ!!」
ズガンッ、と何かが発射される音が聞こえた。物騒だなあと思い見ていると、何かが私に目掛けて飛んでくる。
『ミサイル…!?逃げ、』
気づいた時にはすでに手遅れだった。鈍臭い私は飛んできたミサイルを避けることが出来ず、直撃した。異空間へと飛ばされて、ぼふんと爆発音が鳴り響いた。煙に思わず咳込む。
『けほっ…、』
「このパターンは初めてだなあ。」
『!?』
煙が晴れていき、私の目の前には白色が広がった。髪の色も、服も真っ白で、その姿はまるで、
『天…使……?』
「うーん、君にとったら、悪魔かな。星影花莉ちゃん♪」
自らを悪魔と呼んだその男は、私を見て妖しげに笑った。
-指輪争奪戦 END-