ボスの隣

「花莉様には今回の指輪争奪戦を見届けていただきます。」

『は、』

「星空の娘はボンゴレの行く道を共に歩く義務があります。そのため、今回のボンゴレボスを決める戦いには必要不可欠。勝者に完成したボンゴレリングをはめる役割を担っていただきます。」

『なっ、い、嫌です…!!』

「申し訳ありませんが花莉様に拒否権はございません。ご了承くださいませ。」

『そんな、なんで…っ、』

好き勝手に進んでいく話に、私の意思は関係なかった。私はこの話に、はいと頷くことしかできないのだ。

「本来花莉様には大空のボンゴレリングを持つ方のそばにいて頂くのが鉄則ですが、今は半分に分かれているのでどちらについていただくかは選択が可能です。XANXUS様か沢田綱吉氏か。どちらになさいますか?」

本人が目の前にいるのに選べというんですか。いっそこれも指定してくれればそっちについていくのに。当然だが綱吉君の方に行きたい。でも目の前で彼が凄まじい圧をかけてくるので即答ができない。

「ボスを選ぶに決まっている。」

「わからないわよぉ〜。」

「補足ですが星空の娘である花莉様に何かあった場合、ボンゴレボスに就く権利は剥奪されます。星空の娘は尊きお方。守ることができなければボスの力量はありません。」

「はっ、迷うまでもねぇ。おい女。来い。てめぇは俺の隣にいてこそ価値がある。」

差し出された手に戸惑った。綱吉君の強さは知っている。だけど、私がいることで綱吉君を危険に巻き込んでしまうのではないだろうか。迷惑はかけたくない。目の前の彼についていくのが正しい選択かもしれない。

「おいツナ。お前はどーすんだ。」

「ええ!?で、でも…っ、」

「今まで何も知らずにあいつは育ってきた。お前と同じだ。お前ならあいつの気持ちがわかるだろ。」

「!!」

私はゆっくり、目の前の彼の手を取ろうとした。

「待って!!」

『!』

「俺、守るから!花莉先輩を守りますから!だから俺達と一緒にいてください!」

綱吉君の力強い言葉に心臓の辺りがまた熱くなった。彼も怖いはずなのに。可愛い後輩の誘いだ、断るはずがない。

『私、綱吉君についていきます。』

「ふん、いずれ手に入る。」

「承知致しました。それでは、場所は並盛中学校。詳しくは追って説明致します。」

「え!?並中でやんの!?」

「それでは明晩11時並盛中でお待ちしています。」

「さようなら。」

彼女達は私を置いて帰っていってしまった。酷すぎる。せめて私を下ろしていってほしかった。

「しししっ、なーなー、近くでそれ見せろよ。」

私と同い年くらいの金髪の少年が私に近づいてくる。それ、というのはこの瞳のことだろうか。しかしそれを制止したのは聞き覚えのある声だった。

「う"ぉぉい!!!行くぞぉベル!」

『ん!?あ!!あの時の破廉恥剣士!』

「貴様ぶっ飛ばすぞぉ!!」

先程まで静かだったし、人影で姿が見えなかったため、長髪の彼がいるとは思わなかった。私は先日言われたことを忘れてないぞ。

「おい、」

『…、』

「お前は俺のものだ。忘れるな。」

そう吐き捨てた強面の彼は、仲間を引き連れて闇夜に消えていった。誰か私に人権をください。私の人権はどこにいってしまったんですか。

「花莉、」

『リボーン君。』

「お前にはもう黙ってるわけにはいかなくなっちまった。今からツナんち来い。おめーらもだ。いいな家光。」

「ああ。」

きっとリボーン君がする話は私にとってすごく良くないことなのだろう。私は溶け切ったアイスが入ってる袋を強く握りしめた。