Sono innamorato
委員長が怖いわけじゃない。それでも、どうしても体があの時のことを思い出してしまう。もう忘れてしまいたいのに。
応接室を飛び出した私は屋上へと訪れていた。私は何をやっているのだろうか。いや、どうしたいのだろうか。彼を拒んでしまったことがショックだった。もちろんああいうことをしたいわけじゃない。それでも、触れていてほしいと思うんだ。そのくせ怖がって、何がしたいのかわからない。自分が嫌になる。
委員長と他愛のない話をしたい。
委員長に触れていてほしい。
委員長の傍にいたい。
そう願うのに、どうして−−−、
『委員長…っ、』
「また、泣いてるの?」
後ろを振り返ると、私が今まさに呼んだ彼が立っていた。
『!!なん、で………、』
「君は弱いから。」
彼の言葉に心臓が締め付けられた。やっぱり強くならなきゃ。強くなければ彼の隣にいられない。私は乱暴に涙を拭い、拳を強く握る。
『さっきはすみません。もう大丈夫です。もう…泣きません。』
「そういう意味じゃないよ。前にも言ったけど、君が弱いのなんてずっと前からわかってるし、泣きたいなら泣けばいい。」
『っダメなんです!!それじゃっ…、』
貴方の隣にいられない。
「君が何をそんなに怯えているのか知らないけど、そろそろ鬱陶しい。」
『なぁっ!?』
「うじうじするな。堂々としてて。君はだらしなく笑ってる顔で僕の隣に立ってればいい。」
『!』
「権利なんていらない。そんなの誰が決めたの?僕が許可してるんだから君は僕の傍で笑っててよ。」
委員長の指先が私の頬をなぞる。触れる指があまりにも優しかった。私自身を見てくれるこの人に、どれだけ救われているのだろうか。こんな私でさえ、包み込んでくれるその優しさにまた涙が零れ落ちそうになる。
「泣き虫。」
『委員長が甘やかすから…。』
「フ…、それもそうかもね。」
優しく笑う委員長に、自身の心臓が締め付けられるのがわかる。先ほどのような、痛みからじゃない。もっと切なくて熱を帯びた感情だ。
「家出は気が済んだ?」
『済みました…。』
「そう、じゃあ戻るよ。次仕事放ったら咬み殺す。」
『はい…っ!』
それはいつもよりも優しい言葉だった。胸の高鳴りが止まらない。心臓がドキドキして、苦しくて、切ない。全身を駆け巡るようなこの感情はきっと…、
「恋は突然落ちてくるものだからな。」
『草壁君…落ちてきたみたい…。』
恋というのだろう。
-未来編 END-