トムコリンズ



4章22話と23話の間の話

 ジェレミーさんのお店にトムコリンズたちが移ってしまってから数ヶ月。どうして私たちのお店から何も言わずに出て行ってしまったのか、どうしても話がしたくて屋敷の皆にデパートの清掃員の仕事だと嘘を吐いて、あの店で働き続けた。

『僕たちはあの店に……君に将来が見いだせなかった。だからこちらに来たんだよ』

 始めに言われたこの言葉が信じられなかったわけではない。寧ろ納得がいく。あれだけ励まし続けてくれた三人の期待に自分は添えなかった、だから見放されたのだと十分理解が出来る。けれど私のことが嫌になっただけであんなに再開を喜んでいたみんながあの店から離れるなんて考えられなかった。だからこそ本当の理由が聞きたくて、慣れないながらもあのお店で頑張り続けたけれど、はた迷惑そうな生温さを瞳に示したトムコリンズがが話してくれた内容は私に愛想を尽かしたというものだけだった。
 優しくされたいわけじゃなかった。あんなに優しく沢山教えてくれて励まし続けてくれたのにそれに応えることの出来なかった自分に再び、以前のように接してもらえるだなんて微塵にも思っていない。
 けれどあの店でもっと仕事が出来るようになってもっと使い物になれたら。


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