とうめい

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ゆらゆら、ゆらゆら、
あったかい布団で眠っている感覚。
夢見心地でいい気分。

ふわふわした意識で身じろぎをし上を見ると、微かに見えた赤い幻想に手を伸ばす。

触れてみると柔らかい。


「やわやわ〜」

「、、目が覚めたのか」


声をかけられ、赤くて柔らかいものの正体が、我愛羅の髪である事、そして私は我愛羅の膝の上に頭を預けている事に気付いた。

そうだった。これから五影会談の為、雷車で木の葉に移動中だった。
その間に眠くなって、必死に起きようとしていたまでは覚えてるけど、
寝ちゃったんだ私、、。

しかも我愛羅、膝枕なんてしてくれてたんだ。
どうりであったかくて気持ちいい訳だ。
なんて思いながら、我愛羅のサラリとした髪に手を伸ばし続ける。

風影になってもう10年以上、短かくてツンツンした髪の毛は伸びて、今は額にある愛の字を境に分けられタイトに纏まっている。
それを乱すように少し乱暴に触る。

ああ可愛い、若い頃の我愛羅みたいだ。


「、、、起きろ。もうすぐ木の葉だ」

「あ、」

髪を弄っていた私の手を取り、身体を起こされる。
ちぇ、もうちょっと膝枕堪能したかったのにい。


「お前らイチャイチャしてんじゃねーよ、これから五影会談なんだぞ」

私が我愛羅の膝で寝ている間、その様子をずっと見ていたんだろう、風影である我愛羅の付き添いで来ていたカンクロウさんが言う。
カンクロウさんは膝枕してあげる人とかいないんですか?と嫌味を混ぜた言葉を吐くと、うっせーじゃん、しかも膝枕は女がするもんなんだよ。とちゃちゃを入れてくる。

「だいたいお前はなんで付いてきてんだよ、」

「だって残ったって暇だし、テマリさんにも会いたいし、それに、、」

まあ、確かに?私は関係ないっちゃ関係ないけど?木の葉に3日は滞在するっていうし、その間我愛羅に会えないなんて、

続きがあるような口ぶりだったのに黙りこくる私にカンクロウさんが、それになんだよ?と続きを言うよう促してくる。
、、ん?ちょっとニヤニヤしてる?


「会えないから、、」

「なんだよ、聞こえねえじゃん」

「〜〜っ、何日も我愛羅に会えないのが嫌だからですぅ〜!」


思ったより大きな声で言うなり、それが聞きたかったんだよとでも言うようなカンクロウさんの、してやったりの表情を見て顔を赤くしてしまう。

くそぅ、分かってて言わせたな〜〜〜〜、隈取りめ〜〜〜〜、
義理の兄だとしてもムカつく〜〜〜、

私はこれでも一応我愛羅の妻だ。
妻だからこそ、風影として忙しい我愛羅を理解はしているつもりだから我愛羅が里で仕事をしてて相手にしてくれなくても寂しいとは思わない。
忍でもない私があんまり、とやかくも言えないしね。
息子たちに相手にしてもらえない方が最近は寂しい気がするし。
けど木の葉に行くとなれば我愛羅と何日も離れてしまう。
それに関しては嫌すぎる。たった3日程だけど嫌すぎる。
息子は修行やらなんやらで相手にしてくれないし、我愛羅も居ないしってのは寂しすぎる。
我愛羅は私の気持ちをわかっているのかいないのか、今回木の葉について行きたいと申し出た時は快諾してくれた。
息子たちは、お義父さんの邪魔にならないようきちんと振る舞えるなら行ってもいいんじゃないか、と。
お義母さんに向かってクソ生意気な、、、
でもそう言いながらお義父さんには自分からも言っといてあげる。と言ってくれた。

やーさーしーいー
それに我愛羅だって快諾してくれたって事はやっぱり私に何日も会えないのは寂しいんだよね?そう思ってくれてるってことだよね?
うーれーしーいー


「うふふふふふふふ」

「なんだよこいつ、キモいじゃん」

「キモいってなんだこのやろー!義理のお兄さんでもキモいは許せないぞくそー!」

「、んだと!お前がキモい笑い方してっからだろー!キモいもんはキモいじゃん!」

「、、カンクロウ、名前、もういいだろう。もうじき着く。」


私とカンクロウさんの間に静かに座っている我愛羅から、黙れと目で言われる。
我愛羅は名前に甘すぎじゃん?との声が聞こえて来たが、聞こえないふり聞こえないふり。
甘い、と言ってても穏やかに笑って許してくれるカンクロウさんも優しいんだけどね。

2人の優しさプラス息子の優しさ、ガタンゴトンと聞こえる雷車の音を感じていると
窓の外にようやく木の葉の里が見えてきた。