悩み事 01
運が悪いのか、恋愛に向いてないのか、神様が私に恋人なんて必要ないと告げているのか、
ここ数ヶ月そんな事しか考えていない気がする。
今日だって仕事しながら同じ事をぐるぐるぐるぐる考えては、仕事に集中しようと思い手を進めてまたぐるぐる考えだしてしまっての繰り返しをして既に夜。あと少しで終業の時間だ。
最近は毎日がそんな感じで終わっていく。
そんなネガティヴになるなよって?
いやいや私だってそんなネガティヴ思考に陥りたくない。
彼氏も欲しいと思う、結婚だってしたい。
強い忍になるべく死物狂いで修行して、あれやこれやと言う間に上忍にまでなり、風影様の秘書的な事をしだしてそこそこ歳もとった。
まあ、世間から見れば私なんてまだ若いほうだと言われるだろうけど。
同期の子達はもう結婚して子供までいる始末。
完全に遅れをとっていた。
「あーもう、誰か私をもらってよ」
「……なんだ」
「えっ、あ、の、なんでもないです……すみません」
「そうか」
考え事が深みにはまると声が出るんだな、一体どの辺りから私は一人で喋ってたんだよと思いながら止まっていた手を目の前にある書類に移し仕事を再開する。
風影様って結婚とかしないのかな、上役に迫られてお見合いとかしてたっていうのは風の噂で聞いたけど結局上手いこといってないみたいだし。
私もどこぞの大名の娘とかなら風影様とお見合いとかできたんだろうなー、と折角仕事を再開した筈の手はまた止まり風影様をぼーっと見る。
「……俺になにか用か」
「え!あ、いえ!すみません……」
私はこの人が好きだ。勿論長い事側にお仕えしていて、尊敬している部分もあるけど、いつからか一人の男性を見る目に変わっていて。私より少し歳上なだけなのに風影で、みんなから慕われてて、無表情だけどとても優しくて。でも身分が違い過ぎるし、風影様が私の事を好きになってくれるなんて、天と地がひっくり返ってもありえないだろうと、一緒に仕事ができるだけ、近くで見られるだけそれでいいと思うようにした。
同期達が彼氏を作り結婚、子供が産まれ、そんな話をここ最近よく聞きすぎる。もし私が好きになった男性が同じくらいの身分だったら、恋の悩みはまだ軽い方だったと思う。
どうして私が好きになった男性は、風影様なんだ。
「はあ、」
「……何か悩みでもあるなら言ってみろ」
「えあ、す、すみません、また声に……あの、なんでもないので、大丈夫です……ほんと」
相変わらず、優しいんだな。そんなんだから好きになっちゃうんでしょーが。
私の悩みの対象である風影様に、言ってみろなんて言われても言える訳ないのでサラリと交わしもう一度目の前の書類とにらめっこする。
「名前、もうそろそろ帰っていい……と言いたいところだが、夕食に付き合ってくれ」
……は?
今なんて?
「え、なんでですか?」
「嫌か」
い、嫌ではないですけど、寧ろめちゃめちゃ嬉しいですけど風影様とご飯なんて!
今までそんな事言われたことなかったから、どうして私と?と思っただけで!なんて考えながらもじもじしていると仕事に区切りがついたのか風影様が立ち上がり「行くぞ」と執務室から出ようとする。
あ、あの!と声を掛ければ、部下が悩んでいるのを無視はできないからな、小さな悩み事でも早々に解決しておいた方がいい。それは風影である俺の役目だ。と振り返りながら言った。
「え、っと、分かりました…」
……もうどうにでもなれ。