03
その日の夜、私達一家は奈良家に一泊する事が決まっていたので、ナルト君の家を後にし奈良家へ向かった。
いくら兄弟といえど家族四人でお邪魔するのは迷惑ではないかとテマリちゃんに聞いたんだが、小さい赤ん坊がいるうちは身内を頼ればいいんだよと言われた。
確かに、宿に泊まって夜中に娘が泣いたとして、他の宿泊客に迷惑がかかるかもしれないと踏んでいた私には、テマリちゃんの好意がすごく嬉しい。
そして案の定、お昼間によく寝ていた我が娘は夜中になってもなかなか寝てくれず、終いには泣き出したので、軽く夜の木の葉の街でも散歩しようと、今、娘と私とで外に来ている。
そしてなんと、忍じゃない私を心配してテマリちゃんもついてきてくれた。
「…っ」
「お、泣き止んだか?」
「はい…。でも抱いてないとまた泣きだす感じですかね。子供って難しい、」
実質子供が二人いる私だけど、幼児を
育てた事なんて勿論ない新米ママなので、本当にこういう子育てで正解なんだろうかと不安になる時もあって。
産まれてすぐの時は泣くのが当たり前くらいに思ってたけど、もうすぐ一年、稀に狂ったように泣きだす我が娘を、一体どうしたんだと、謎に思う時がある。
普通の一歳ってどんな感じなのか。
「不安かい?」
「え?…ん〜、まあ、近くになかなか相談できる相手が居なくて、不安に思う時もありますね…テマリちゃんはどうでした?シカダイ君が小さかった時とか」
「シカダイは小さい頃から大人しかったけどね、逆に大人しすぎて不安だったよ。子供なんだからもっと泣けばいいのにさ」
公園のベンチに座って、ようやく落ち着いた娘を抱きながらゆらゆら揺れる。
時折揺れるのを辞めると眉間にシワが寄る娘に翻弄されながら、テマリちゃんの子育て奮闘記を聞いて、強そうな姉御肌系のテマリちゃんでも不安に思う事もあるんだなあ、なんて思った。
それでもやっぱり一番の助けになってくれたのは旦那であるシカマル君らしく、シカマルが〜、と話すテマリちゃんの顔は少し照れていた。
そんな顔してたら襲われるぞ(私に)
「まあ困った時は我愛羅になんでも言や良いんだ。あいつ昔は年中反抗期みたいな奴だったけどさ、随分と丸くなったもんだよ。シカダイなんて小さい頃は我愛羅をおもちゃ扱いしてたけど、怒った事なんて一度もないからね」
昔の我愛羅だったら殺されてるな、なんて笑うテマリちゃん。
昔の我愛羅君をおもちゃ扱いするなんて、考えただけでも恐ろしい。丸くなってくれて本当に良かったと心底思う。
今は本当に優しいからね。
「シンキの奴も随分と協力的に見えたし、お前は頑張り過ぎず甘えたい時は男どもに甘えりゃいいのさ。それと相談したい事があったらいつでもウチに来な。母親の先輩として相談に乗ってやるよ」
「…ふお、」
雷車だってできたんだから、一人でも来ようと思えば来れるだろうし、たまには息抜きしないとな!と明るく言ってくれるテマリちゃんに思わず感動。ふおおおおお。
夜なのに輝いて見える義姉に見とれて、娘をあやす為に揺れていた身体が止まると、膝の上の娘の眉間にシワが寄る。
娘よ、少し待ってくれ。揺れるから。後で揺れるから。
「名前、テマリ、こんな所にいたのか」
「あれ、我愛羅君」
別段、大層に子育てについて悩みを抱えていた訳じゃないが、テマリちゃんの姉御肌感になんだかこれからの子育てが気楽にできそうだと心が少し軽くなった気でいると、公園の明かりに照らされた我愛羅君がやってきた。
「なんだい我愛羅、盗み聞きでもしてたか?」
「迎えに来ただけだ。シンキが、妹が帰ってくるまで自分も眠らず待っていると言うものだからな」
「…ありゃ、シンキ君に心配かけちゃったかな………私の事は待っててくれないのかあ」
公園に設置されている時計を見れば、もう深夜。
明日の朝には木の葉を出るから、帰ろうという我愛羅君の言葉に立ち上がる。
両手を私に差し出してくる我愛羅君の意図を汲み取って、娘を差し出そうとすると、スヤスヤと穏やかに眠っている娘の顔が目に入った。
…突然寝てるんだけどこの子。
まあ寝てるなら寝てるで良いけど。
起こさない様に我愛羅君に娘を預け、公園から奈良家までの道のりを歩いて帰る。
辿り着いてから一番に出迎えてくれたのはやはりシンキ君で。
本当に起きて待ってたんだ。
「寝てても良かったのに」
「……いえ、」
「ありがとね、シンキ君が妹想いのお兄ちゃんで母上は嬉しゅうございまする」
「……妹だけではなく、義母上の事も心配です」
…
ん?…んん?!
い、いま私の事も心配って、義母上の事も心配って言った?!うっそまじ超可愛いんですけど。なんなの?なんのツンデレなの?
「シ、シンキ君、も、もう一回、……」
「言いません」
ツンデレのデレの部分が垣間見えたシンキ君をもう一度見たくて、心配ってもう一回言ってくれるよう頼んでみると光の速さで断られた。チッ。
結局、散歩に出かけて寝不足になってしまった私は昼頃まで寝てしまって、朝帰る予定だった雷車に間に合わなかった。
シンキ君には呆れられて、母の威厳がどんどん無くなっていった気がしたけど、昨日の夜シンキ君のデレ具合が見れたのでいいとする。
今度はゆっくり来なと言ってくれるテマリちゃんやシカマル君、それにシカダイ君に別れを告げて、砂へ帰るべく雷車へ乗り込んだ。
また来たい。てか来よう。
おわり
くま様リクエストで、赤ちゃんが産まれて木の葉へ家族四人で遊びに行くお話でした!
ヒナタちゃんやテマリちゃんとも絡ませて欲しいという事だったので二人をメインに絡ませてほのぼのとさせました〜!
連載完結についての暖かいコメントもありがとうございました!