現代の賜物 01
事の始まりは、毎日暇だ暇だと嘆いている私を、シカマル君が訪ねてきた事だった。
いつものルーティン、昼食を食べ終え、洗い物や洗濯を終わらせたあと、晩御飯まで何しようかな〜と椅子に座ってボーっとしてた所に珍しいお客さん、シカマル君がやってきた。
「よお、元気でやってるか」
「んー。あれ、シカマル君。砂に来るなんて珍しいですね」
「まあな」
木の葉と砂はいくら雷車があるといえども距離はかなりある。
メールも電話も復旧しているこのご時世、よっぽどの用事が無いと参謀であるシカマル君が砂にくるなんて無い。
まあ、私には忍者同士の用事の事はよく分からないからあまり関係ないけど。
立ち話もなんだから、此処どうぞと、私が座っている机を挟んだ向かい側の席を指差すと、素直に座った。
「何か我愛羅君に用事でもあったんですか?」
シカマル君が座ったのを見て、お茶でも淹れようと立ち上がる。
二人分のお茶を机に置いて、木の葉から砂へわざわざ出向いた理由でも聞こうと思い、話始めると、お茶を啜って一呼吸おいてからシカマル君は少し気まずそうに口を開いた。
「…今回はお前に用があんだ。木の葉に少しの間、仕事頼まれてくれねえか。我愛羅にはもう許可を得てる」
「ん?え?仕事?、わ、私?」
「ああ」
我愛羅君では無くて私に用事が、しかも仕事を頼みたいと突然申し出るシカマル君に、頭がついていかない。
え、いや、仕事って簡単に言いますけど、私に一体何をしろと。
私一般人でただのひ弱な女子なんですけど。そんな奴に任せられる仕事なんてありますか。
しかも木の葉でって、まあここ最近本当に暇だったし気分転換できるかもしれないから都合はいいんだけど。
「仕事の内容っていうのは…」
「おっと、そうだよな。危険な仕事では勿論ねえから安心してくれ。ただの書類整理だ」
シカマル君によると、どうやら火影であるナルト君の手助けをしてほしいらしい。
火影であるナルト君は、実は地道な業務も結構やってるらしく、全てを並行して作業する事が困難になってきているらしい。
確かにアニメとかで見てた火影室は書類の束に囲まれてた。しかもめちゃくちゃ疲れてそうだったし。
アカデミー入学手続きだったり、卒業手続き、額当ての発注とか、中忍、上忍昇格云々、の事務作業を任せたいとの事。
なんで私が選ばれたのかと問うと、この前木の葉で起こった大筒木襲来の所為で、皆試験会場の復興などに回っていて人手が全く足りないらしい。
誰か手伝ってくれねーかなーのナルト君の呟きを、シカマル君がテマリちゃんに話したところ、テマリちゃんは我愛羅君に連絡したらしく、暇そう且つ重要書類を見ても特に害のない私はどうだ、という事になったようだった。
暇そうとは失礼な。暇だけど。
「二、三日でいいんだ。ナルトは細けぇ仕事が苦手でよ、猫の手も借りてーんだと。どうだ、頼まれてくれねーか?」
両手を顔の前で合わせてお願いしてくるシカマル君に、嫌ですとは言えない。
でも確かに、猫の手よりは少しは手伝えるかもしれないし、私自身忍者でも、もともとこの世界の人間でもない分、害は全くと言っていいほどないだろう。
重要な書類を見たとしても何かを企んだりは絶対しないし。
それに暇なんだ。すげー暇なんだ。
泊まる場所はウチでいいならいくらでも居てくれて構わないし、嫌なら宿も取ると言ってくれるらしい。
前の世界でやってた事務が役に立つなら、というより私的には木の葉に行ける事の方が楽しみなんだけど、そこまで言ってくれるならやってみようかなと思う。
私が仕事した事で、ナルト君がゆっくり休めるようになればそれはそれで嬉しいし。
「まあ、私も暇だし、我愛羅君が良いって言ってるなら。役に立つかは分からないですけど事務作業も苦手ではないし。書類整理くらいならできると思います」
「お、おお!まじで?!なら早速、今日木の葉に出立するぜ」
「…え?!き、今日?!」
…と、いう事で私は慌てて木の葉へ行く準備をし、我愛羅君にご飯は自分達で済ませてねと伝え、シカマル君と共に木の葉へ向かった。