02
「おいナルト、連れて来たぜ」
「おお、助かるってば………、ん?」
木の葉に到着した後、シカマル君の家に一泊させてもらい、朝シカマル君と一緒に火影室へとやって来た。
ノックの音を響かせて執務室の扉を開けると、山積みになった書類の向こうから顔を覗かせて来るナルト君と目があった。
うわあ、げっそりしてる。
「こんにちは。ナルト君」
「あ、ああ。久しぶりだってばよ。…シカマル?もしかして俺の書類整理を手伝ってくれる奴ってのは、」
「ああ。我愛羅んとこから借りて来た。名前だ」
「…」
えええええええ?!
シカマル君から改めて紹介されて、ナルト君から返ってきたのは驚きと動揺。
そのあとブツブツと、大丈夫なのかと呟く声が聞こえてきた。
おい、聞こえてるぞ。
「人手不足の中わざわざ砂から来てくれてんだ。ちょっと抜けてる所もありそうだが我慢してくれナルト。猫の手よりはマシだろうぜ」
「あ、ああ…まあよろしく頼むってばよ…」
いやいやいや、さっきから一体なんなんだ。
我慢してくれとか、抜けてるとか。
何?弄られてる?私弄られてる?ここ突っ込むところなの?
ていうかそんなにしっかりしてないように見えてるの?ウソ、まじで?
くそお、こうなったらめちゃくちゃテキパキ書類整理でもなんでもやってやるよ!見てろよおおお
「ナルト君!!」
「…え?!は、はい!」
メラメラと闘志が湧いて来て声を上げる。
突然呼ばれた事で驚いたのか、思わず挙手をしながら返事をするナルト君。
「何しましょうか!なんでもござれ!」
「………じゃあ、」
ズンズンとナルト君が座っている方まで闊歩して指示を仰ぐと、大量の書類の束を指差し、未処理と処理済みの分を分けてくれと言われた。
紙ってこんなに積み上がるんだと思いながらその書類の一番上を見てみると、ちゃんと文字も読めるようだった。
これが一番懸念していた事で、漫画の中では日本語じゃない文字が沢山あったものだから、書類整理を引き受けたものの不安があった。
だけど神様は居る様で、字読めるようにしてくれたんだなあ、なんて一人で思う。これなら色々細かく書類の整理ができそうだ。神様アザっす。
「じゃ、チャチャっと分けちゃいますね」
「おう。頼むってばよ」
……
それからはただ黙々と、殆どナルト君と会話をする事も無く、作業に没頭。
これがなかなか面白くて、書類の内容に内心いちいち反応しながら分けていく。
今度アカデミーに入学する子達の名簿だったり、逆に卒業していった子達の名簿まである。
他にも中忍になった人たちや、上忍に選抜された人達の名簿まであって、整理をしながら知っている人達はいないかとこっそり探したりもした。
皆からは抜けてるとか、正直ちょっとアホだよね?なんてよく言われたりもするが、実は結構マメで、こういった事務作業が得意です。仕事もとても頑張ります。
…あれ、面接?
「よし、仕分け完了〜」
ざっとこんなもんかな。
大量の書類を全て分け、ふう、と一息。
ナルト君に言われた通り未処理と処理済み、そして更に書類の種類別にも分けたところで、執務室にあった空の段ボールへと入れる。もちろん入れておいてもいいかナルト君に許可は取ったからね。
ついでにマジックも借りて何の書類が入っているかも段ボールに記載しておいた。
そして次は何をしようか、指示を仰ごうとナルト君の方を見てみれば、何やらパソコンの前で唸っているのが見えた。
「う〜〜〜〜ん…」
「ナルト君、どうしたんですか?」
「…ああ、俺ってば機械がちっと苦手でよ。…慣れねえもんだよな〜」
ため息混じりにそういうナルト君は、どうも紙の書類をパソコンにデータ化して保存しておきたいらしい。
だけどどうやって纏めると分かりやすいのか、そもそも表だったりを作るのが分からないらしい。
そういう事なら、と、もっと画面がよく見えるように覗き込む。
キーボードの仕様こそ違うものの、現代のパソコンとなんら変わりない様に思えたので、これならいつもパソコンとにらめっこして仕事してきた事が役に立つかもしれないと、私がやりましょうかと申し出る。
「うお、名前はこれ使えんのか?」
「私元の世界で、仕事で毎日触ってたし、資料纏めたりとか日常茶飯事でしたから。見たところコレも同じ感じだしできると思います」
「…ま、じ、で!やっぱ我愛羅が言ってた通り科学が進んでんだな、お前んとこは」
ほお〜と感心している様子のナルト君に、何をどう纏めたいのかをザックリと聞いてからパソコンを貸してもらう様に言うと、ここに座ってやってくれていいと言われる。
でもそこは火影が座る椅子…!
なんとなく遠慮がちになってみるものの、ナルト君の推しに負けて腰をおろす。
まるで社長室にあるような椅子で、火影になった気分。
だが気持ちを入れ直してパソコンに向き合い、気合いを入れた。
「よし、じゃあこの大量の資料を纏める母体を作って、徐々にパソコンの中に纏めますね。…ナルト君は、さっき私が仕分けした未処理の書類に目を通してもらっていいですか?」
「…ん?、あ、ああ。分かったってばよ!」
多分急に指示を出しだした私に、ナルト君は戸惑っている様だけど、そんな事は関係なーい!
久しぶりに触るパソコンにテンションが割と上がっている私は、とりあえずこの机の上の書類から纏めようかと手を伸ばす。
そこからはまた無言で、カタカタとキーボードを叩き続け、机の上の書類をパソコン上に纏め上げた頃には空が夕焼けに染まっていた。
もう夕方?!と、驚きながらナルト君に目をやると顔が死んでいる。
うわあ、なんかごめん。
そういえばお昼ご飯も食べてないですねと屍のようなナルト君に声をかける。
今日一日で半分までとはいかないが、かなりの量の書類が片付いたので、今日はもう終わっとこうと思った。