02

「おい」

静かに騒ぐシカダイ達が去った後、入れ替わりにこの病室へ訪れたのは、先程名前の様子を見に来たサクラの夫であるサスケ。

静かに入ってきては壁に凭れて俺の方へ視線を寄越すサスケは、俺に用があったんだろう。
ナルトの事だがと、腕を組みながら声をかけてくるサスケは、連れさられたナルトについて何か分かったようだった。


「あいつは生きてる。微量だが、確かにチャクラを感じる」

「そうか」

今だ目を覚まさない名前の顔を見つめながらサスケの言葉を聞いて、希望は消えていなかったと安堵する。
ナルトが生きているという事実には素直に喜びを覚えたが、ナルトにどうやら世話になった様子の名前が悲しまなくて済むと思ったのもまた事実で、心底安心した気分だ。


「……こいつには以前会った事がある」

唐突に、名前が眠るベッドの脇まで歩み寄ってきたサスケが言った言葉に、視線が上がる。
ナルトに何かを相談していた事はナルト自身から聞いていたが、サスケにも会っていたとは知らなかった。

先程までの俺と同じように、眠る名前を見つめながら、
自分の大切な人を誰かに殺されて、復讐しますかとナルトに問うていた事、それに対して自分はどうなんだと聞かれ、許したいと思っていると言っていたこと、
その後サスケが、復讐などしても何も生まれないと言った事など、名前に会った時の出来事を淡々と呟くように話すサスケは、昔の自分を見ている様な、少し目を細めて苦い表情をしていた。


「誰に復讐しようとしていたのかは知らんが、心の奥ではそんな事望んでいなかったんだろう。こいつはナルトに頼ってさえいたが結局は自分で復讐者にならないと決めていた」

「そう…か」


ナルトから、名前が何かに悩んでいると言われた時、自分の過去の事についてだろうと半ば確信があったが、サスケの話を聞いて、やはりと今度こそ確信した。
自分がみっともなく泣いて謝った後、名前は相当悩んだんだろう。自分は一体どうしたいのか、どうあるべきなのかを考えて、考えぬいた結果、復讐はしないとの選択肢を選んだ名前は心の強い人間だ。


「許す事こそ本当の正解なんだと、許す事も強さなんだと、その事に気づいてこそいたが確信が持てなかった。それでナルトに背中を押してもらった。そういう事なんだろうよ」

「……ナルトには世話になってばかりだな」


自分自信、ナルトに出会ってなければ今頃どうなっていたのか分からない。
あいつがいたからこそ今、風影として里を守っていけている。
そして自分だけじゃなく、俺が守りたいと思っている里の者にまで目を掛けてくれているとは、やはりナルトには頭が上がらない。
サスケもきっと、道を外した自分を友と呼び続けてけれたナルトに習って名前に声をかけてくれたんだろう。


「サスケ、ありがとう」

「…その言葉はあいつに言うんだな」


思わず感謝の言葉を口にした俺に、サスケが言う。
礼ならあいつにと、そう言うサスケの見つめる先には、ナルトがいた。

ナルトは生きている。本来その事を伝えに来たんだろうサスケは、ナルトを連れ戻すべく大筒木の元へ行くんだろう。
サスケの言葉は、必ずナルトを連れ戻すと言っている様だった。


「ああ。ナルトにも礼を言うつもりだ」

必ずな、と続けながらサスケを見れば、少し微笑んでいて、あのサスケもこんな風に笑う様になったんだなと思う。
それにつられる様にして俺の口角も上がった。



「邪魔したな」

少し間を置いから、そう呟きつつも病室を出て行こうと足を進めたサスケの背中を見て、自分も風影として、ナルトの友人としてナルト奪還に協力をようと内心思う。
だがこれは、最初にサスケから「あいつは生きている」という言葉を聞いた時から既に、心では決まっていた気がした。


また会おうと最後に行って出て行ったサスケを追う様に、先程シカダイ達から渡され結局掛けることを忘れていた毛布を名前に、既存している布団の上から掛けてやり、俺も病室を後にする。

木の葉の為にも、ナルトを慕う皆の為にも、きっとこの話を聞けば顔色を変え心配するであろう名前の為にも、ナルトは殺させやしない。
そう思いながら足を進めた。



おわり

rice様リクエストで、主人公が気絶している間の周りから見た感じというお話でした!
この後大筒木の元へ行く直前に、我愛羅君はもう一度主人公のところへ来る本編29話へ続く感じでございます。
少し捏造感が漂いますが…!そしてコレじゃない感が否めない…!
ですが書いていて楽しかったです!
リクエストありがとうございました!