番外編

※五条目線


「ただいまー」

 ドアを開けると珍しく玄関への出迎えがなかった。靴はあるから恐らく家の中には居るだろう。不思議なことに彼女は僕と結婚してからあの不思議な能力を使えなくなって、悲しそうにしていたけど暫くしたら落ち着いていたから大丈夫だと思っていたが実際は違ったのだろうか。

「花子?」

 名前を呼びながらリビングに向かうと机に突っ伏して寝ている花子がいて、恐らく途中まで頑張って待ってくれていたのだろうと口角が上がる。
 頬をツンツンと指で突くが起きない。本格的に寝ているようだ。

「頑張り過ぎて心配になるよ」

 捨てる日なんて来ないのに、彼女は終わりを怖がる。終わる日は僕か彼女が死ぬその日だけなのに。

「大好きだよ」

 起こさないようにゆっくり抱き上げて額にキスを落とす。これ以上触れていたら色々と我慢が効かなくなりそうだ。

 彼女を広いベッドの真ん中に寝せ、その隣に横になって頭を撫でながら観察する。
 明日は久しぶりの休みだから一緒に出かけよう。新しい服を買って、初めていく場所に連れて行って帰りには美味しいディナーもいい。花子が知りたがっていた仕事の話もそろそろしよう。
 そうと決まれば早起きする必要があるなと花子を抱きしめて瞼を閉じた。
 きっと明日も良い日になるはずだ。
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