私を占める感情が正の感情だとしても、負の感情だとしても、頭が鶴以外の声でうるさいのは厄介だ。記憶が邪魔をする。うるさい、うるさい、うるさい。私は鶴だけを好きでいたいのに。
「……つるを好きなままでいたい」
気付けば、鶴にそう打ち明けてしまっていた。
「きみがどんな奴を好きになろうと構わないと思っている。俺がきみを一方的に好きなだけだからなあ」
彼は言う。
「けれど、同時に、きみを誰にも渡したくないと思っている」
彼はぎゅうっと、私を抱き締めた。
「この部屋に、誰も入れたくない。きみが懐かしいと思う英雄たちでさえ、きみの視界に入らないでほしいと願ってしまう。この世界はみんな、きみに愛されたい奴らばかりだ。だから、誰もがきみと結ばれるのを願う。きみを守ろうとする」
鶴は、ここが私にとって都合のいい世界だと言っていた。私の記憶の残滓から出来た、優しくて綻びだらけの歪んだ世界。いろんなお話から切り取られた世界。
「……本当に、きみと共に朽ちてしまえたらいいのになあ」
悲しそうに、彼は呟いた。