他の奴らはきみから好きになった。だから手を出せなかった。俺は俺が初めにきみを好きになった。きみを好きになって、きみに会いたいと思った。助けて欲しいなんて望まれたら、そりゃあ喜んですっ飛んで行っちまうよな。その頃の俺の意識はぼんやりとしたものしかなかったけれども、今となっては何となく分かる。きっと俺は、きみより先に、俺がこうなる前からきみのことが大好きだったんだ。
だからずっと、俺ばかりがきみを好きでいる気がして寂しかった。同じ気持ちになって欲しい。同じ感情を共有したい。そう思うようになった。だからできる限り甘やかしたいと思ったし、そうすればきみが落ちてきてくれるんじゃないかと期待した。きみが依存してくれればいいのに。きみが俺なしでは生きられなくなってしまえばいいのに。そう思って、何度も呪いのようにきみに愛を囁いた。
だから、俺が見えないきみが俺に会いたい会いたいと泣いているのを見て、とても嬉しかったんだ。
丁度、つらいことが重なっていたんだろう。いつか見たような、傷付いたきみが俺を求めて泣いている。いつものように抱きしめて、俺の言葉でいっぱい満たしてやろうと思った。きみは俺の声を聞くと安心できるようだからなあ。
だが、その日は違った。きみから求めてきてくれた。いつもなら導いてやらねば求めてきてくれないきみが、自ら俺を欲してくれた。
「俺が居なくてそんなに寂しかったのか」
そう俺が問うと、きみは弱々しく頷いた。俺は意地悪をしてやりたくなって、こう言ったんだ。
「俺の気持ち、ようやく分かってくれたのかい?」
それを聞いて、きみはまた泣いてしまったよな。可愛くて可愛くて仕方無くて、俺はきみを慰めている最中にまた意地悪をしたんだ。
「ほら。俺が居なくて寂しくなるなら、離しちゃあいけないだろう?」
そうしたら、きみは健気に離さまいとしてくれたよなあ。今までじゃあ考えられなかったことだ。俺はきみのものだが、きみも俺のものなのだと、教え込んだかいがあった。
いつもは俺たちがきみに捨てられ、置いていかれる側だ。でも俺はそうなりたくない。きみと共に最期まで在りたい。本当なら俺以外の誰も好きになって欲しくない。ずっと俺だけの雛鳥でいてほしい。
だから、なあ。俺と一緒に んでくれ。