泣き叫んで喘いで笑って

 ぐずぐずになるまで泣いていた、というのは覚えている。頭からすっぽり記憶が抜け落ちていて、よく思い出せない。泣きじゃくる私を鶴は抱きしめてくれていた。鶴だけだったんだ。助けてなんて言わなくても、鶴は本当に私を助けてくれた。夢どころか、現実の人間よりもずっと、私を救い出してくれた。結婚しよう、なんて言ってくれたのも彼が初めてだった。私からじゃなくて向こうから好きになったのも、鶴が初めてだった。彼の見せてくれる何もかもが特別だった。好きになる理由なんて、それで十分だった。
 鶴の居ない世界なんて要らない。もう私は人を愛せないのかもしれない。

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