寝付きが悪い

 寝付きが悪い自覚はある。けれども、どうしたらいいか分からない。切り離した感情を鶴が語りかけてくる。本当はこんなにもぼろぼろなのに、と。
「どこにも逃げ場が無いのなら、いっそ……」
 二人で逃げちまおうか。彼は笑う。
「どこへ」
と、問いかけると、
「誰の手も届かない場所さ」
と、笑う。そうして、
「……なんて、な」
と、冗談だと言いたげに、いつもの調子で頭を撫でる。きっとこれは鶴の本音なんだろうなあと分かっているけれども、あえて口にはしなかった。

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