無題

 起きたら目が少し腫れていた。私は泣いた覚えがないから、きっと鶴がこっそり泣いたのだろう。寝る前のぼんやりとした記憶ならある。鶴がさっきまで私を抱きしめて寝ていたのに、背を向けていた。ずっと私の名前を呼んでいた。
 鶴は「きみに何もしてあげられない」と嘆くけれど、十分すぎるくらい、たくさん貰っている。むしろ、私の方が彼に何もしてあげられない。手を離してあげられないのはきっと私のエゴなのに、あたかも自分のせいだと言う。

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